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マネー増発に支えられる2,000兆円の潜在不良債権、世界の上場企業の現状=吉田繁治

第一次世界大戦での、マネーの増発

記憶している人は、90歳を超えています。110歳のごく少数の人も当時は幼少期であり、記憶にはない。記録で見るしかない。

第一次世界大戦では政府が国債の増発を行うため、金本位(正確には金準備制)は停止されていました。金準備制なら、通貨の増発は金準備高に縛られて、GDPの100%やそれ以上を使う戦費の調達ができないからです。

19世紀末から20世紀初頭にかけて、英国にならって中央銀行を作ったあとの国では、税金ではマネーが足りない戦争は、通貨の大増発を行うものに変わっていました。

(無限にも思える)通貨増発による戦費のため、戦争が国民の財を集結する「国家総力戦」に変化し、初めての世界大戦になったのが、第一次世界大戦です(1914年~1918年)。

大戦のとき増発されたマネー(財政支出)は、戦争の被害を受けなかった米国で株式と不動産のバブルを引き起こします。新しい産業としては、自動車、家電、電力、鉄道があったのです。国民の間には、投資信託が普及し、高い株価を背景に、資本調達のための株式の分割が盛んになっていました。

ワニや巨大な蛇が出て、蚊も多い湿地帯の温かいフロリダ(日本で言えば沖縄にあたる)では、空前の不動産ブーム(リゾートブーム)が起こっていたのです。フロリダの不動産バブルは1928年、29年に崩壊し、31の銀行を破産させました

金融危機の原因になるのは、過剰なマネーが貸付金になって引き起こす資産バブルだということが分かります。古今東西、普遍の原理でしょう。

ただし、マネーの増発と資産バブルの発生から崩壊には、ほぼ10年の複雑系の負債債券と貸付増加の波及の期間を置くため、経済学は「マネーの過剰な増発が、金融危機とその後の、実体経済の恐慌の原因だった」とはしていないのです。

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image by: Mark Carrel / Shutterstock.com

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ビジネス知識源プレミアム:1ヶ月ビジネス書5冊を超える情報価値をe-Mailで』(2019年8月15日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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