中堅化学メーカーのトクヤマが、財務改善を進めているというニュースがありました。ここに出てくるDEレシオ(負債資本倍率)とは、どういった指標でしょう。(『時事問題で楽しくマスター!使える会計知識』柴山政行)
DEレシオ(負債資本倍率)とは、どんな指数なのか
トクヤマが借入を圧縮して、負債資本倍率の改善へ
2019年8月20日の日経朝刊15面によりますと、中堅化学メーカーのトクヤマが財務改善を順調に進めているようです。
※参考:トクヤマ、負債資本倍率0.6倍に下げ 20年3月期末‐日経新聞(2019年8月20日公開)
2020年3月期には、有利子負債と自己資本の比率を表すDEレシオ(負債資本倍率)を0.6倍程度に引き下げる見通しです。
トクヤマの第1四半期における決算発表を見ると、2019年6月末における負債合計は209,666百万円、純資産合計は165,648百万円です。
単純に負債を純資産で割ると1.26…倍です。
ここで言われているDEレシオは、いわゆる有利子負債÷自己資本で計算されます。
■有利子負債
利払いを伴う借入れなどの資金調達。具体的には借入金・社債・コマーシャルペーパーなどを指す。
■自己資本
会社の資産のうち、株主に帰属する部分が元の意味。現行制度の貸借対照表では、株主資本とその他の包括利益累計額を合計した金額を言う。
これをトクヤマの2019年6月30日時点における財務状況に照らして計算すると、次のとおりになります。
有利子負債
=短期借入金3,465+1年以内返済予定の長期借入金12,696+リース債務752+1,725+長期借入金107,432=126,070百万円
自己資本
=株主資本153,222+その他の包括利益累計額1,710
=154,932百万円
DEレシオ=126,070÷154,932=0.8137…
じっさいにトクヤマの2020年3月期第1四半期決算説明資料でも、2019年6月末時点のDEレシオは0.81と表記されています。
※参考:>2020年3月期 第1四半期決算説明資料‐株式会社トクヤマ
一般論としては、DEレシオの理想的な数値のめやすは、だいたい0.7~0.8程度といわれていますので、0.81という数字は、理想に近いと考えられますね。
冒頭でも述べられているとおり、2020年3月期には、0.6程度まで引き下げる予想がたてられているので、さらに負債の負担が減ると見込まれています。
トクヤマの年度業績予想は、売上高が前年比5.7%アップの3,430億円ですが、当期純利益は逆に11.0%ダウンの305億円です。
こういった業績予想と合わせて当年度末のトクヤマの財務状況がどうなるか、今後の動きに注目ですね!
image by : SFIO CRACHO / Shutterstock.com
『時事問題で楽しくマスター!使える会計知識』(2019年8月21日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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