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米中間の緊張の高まりは最後のバブルの前兆?中国は未来を見据えた、あえての減速か…=藤井まり子

10年物利回りと3ヶ月物利回りの逆転

その結果、2019年においても、10年ものドル国債利回りから3か月物のドル国債利回りを引いた差はマイナスとなり、いわゆる「逆イールド」が発生しています。

この「逆イールド」は、3月22日に発生して、今もマイナス圏で推移しています。

3か月物と10年物の利回り差がマイナスとなる「逆イールド」については、1998年にも2000年にも起きていました(1996年には起きていません)。1998年9月にも一瞬間だけ発生。

この時も2019年と同じように、世界経済の減速懸念に中で「質への逃避」が進み、勝手に長期金利だけが低下することで、「逆イールド」が起きています、この時、当時のグリーンスパン議長が緊急利下げへと迅速に動いたので、その後「逆イールド」は解消、株価も経済も持ち直しています。

そして、2000年7月にも再びこの手の「逆イールド」は発生しています。ただし、この2000年の「逆イールド」は、FRBが「バブルを潰す」過程で、FRBが短期金利をばかすか引き上げたので、起きた「逆イールド」です。「2001年の逆イールド」は、「2019年の『質への逃避』が巻き起こした逆イールド」とは性質が違います!

やはり、「2019年の逆イールド」は、「世界経済の減速懸念の中で国債がやたら買い進められて、長期金利だけが勝手に低下することで起きてしまった1998年型の逆イールド」にそっくりなのです。

「2019年の逆イールド」と「1998年の逆イールド」の違いは、その長さです。「1998年の逆イールド」はわずか1ヶ月間だけ発生してすぐ解消されています。「2019年の逆イールド」は、もう3ヶ月以上も継続して発生して、「1998年型」よりも「根深い」物を感じさせてくれます。

2019年のアメリカ株式市場は、「1998年のデジャブー」か?

今のアメリカ経済は「まだら模様」ですが、まだしっかりしています。

ところが、ここのところ唐突に「米中間の緊張」が高まって、それが世界景気に「激震」を走らせる可能性が高まっています。香港発のブラックスワン、台湾発のブラックスワンがいつ飛び立っても不思議ではありません。

あるいは、「トランプ再選ならず」の可能性も高まっています。これもブラックスワンの一種なのではないでしょうか?

今のアメリカ経済と1998年のアメリカ経済は、パウエル議長が示唆するようにあまりに「似通っている」点が多い。しかも、マーケットの動きを照らし合わせてみると、あまりに「今現在のダウの動き」と「1998年のダウの動き」が酷似しているのです。

「今現在のダウの動き」は、まるで「1998年のダウの動き」のデジャブーなのです。1~2週間くらいタイムラグがありますが、ほとんど同じ動きをしています。

1998年は、8月下旬に激震が走りましたが、2019年の場合は9月上旬に激震が走るかもしれません。

Next: 逆イールドは、米国リセッション入りの合図なのか?

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