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チャイナ・ショック以下のISM製造業指数も株価復活…米国経済は何で崩壊するのか?=栫井駿介

アメリカがくしゃみをすると、日本は肺炎になる

私たちは、この話を「アメリカのことだ」と他人事にしてはいけません。

米国がくしゃみをすると、日本は風邪をひくどころか、肺炎になってしまいます。以下は、日米欧の1株あたり利益の推移を示したものです。

これを見て分かるのは2点です。

1. 日本企業は確実に利益水準を伸ばしている
2. 日本企業の利益は景気に非常に敏感である

1について、コーポレート・ガバナンスの改善、株主重視の浸透によって利益率の向上や株主還元の強化が図られました。これによって、ほとんど伸びないGDPを尻目に、株式市場の魅力は高まっています。この10年で、日本株は米国に次ぐ上昇率を記録しました。

しかし、この一場面だけを切り取るとぬか喜びになってしまう可能性があります。2でわかるように、日本企業、特に大企業の利益は景気に非常に敏感なのです。リーマン・ショックでは多くの企業が赤字を記録しています。欧米の企業はそこまでひどくはありません。

その要因として、日本の大企業に景気敏感業種の企業が多いことが挙げられます。具体的には、自動車、電機、機械、化学などです。

すなわち、これまで増加を続けてきた利益も、景気が悪化すれば再び大きく減少してしまう可能性が非常に高いということです。

だから私は、足元の銘柄選択において、景気敏感銘柄をできる限り避けるようにしています。そこに該当するかどうかは、リーマン・ショックで赤字になったかどうかを判定基準にすることができます。

もちろん、みんなが避けるからこそ割安になり、投資妙味が出ることもあります。長期的な成長が見込まれる場合は、短期的な下落リスクを覚悟で投資する場合もあるでしょう。このさじ加減こそが、長期投資の醍醐味です。


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image by: Anton27 / Shutterstock.com

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バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』(2019年10月6日号)より
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。

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