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40代のリストラ加速。人手不足は大嘘で、超低賃金の単純労働者だけを求める日本社会=今市太郎

企業に足りないケイパビリティは、ジョブローテーションでは補えない時代

これまでの時代はITなどで大きく企業が変化するということになっても、企業内で新たな能力をもった人材を育てるということが多くみられてきました。

しかし、足元の中途採用は、社内に存在しないケイパビリティを補うことが中心になっており、一般企業におけるきわめてコモディティ化している人材のほかの企業への労働移動がかなり難しいことが目立ちはじめています。

たとえば自動車業界であれば、既存の自動車の設計生産の知見をもつ者よりも、IoTやAIといったまったく業界内に存在しなかったようなケイパビリティが求められるわけですから、既存の業界経験というものがほとんど有効に機能しないという現実があるわけです。

またM&Aの加速により同業社に買収されるリスクも非常に高くなってきていますから、これまでのように自社内では際立った知見の存在でも、買収先では必ずしもそうではなくなるという評価激変の可能性が高まりつつあります。

大手企業の40歳からの早期退職などが顕在化するのはこうした企業の環境変化の現れであり、これからはサラリーマンが一生働き続けることがきわめて難しい時代になってきていることを痛感させられます。

これまで正規か非正規かという問題は労働市場でも大きな議論の対象となってきましたが、どうやら問題はそういうレベルではなくなっているようです。

つまり。正規雇用に入ったから一生安心ということは、全くなくなってしまったようです。

私は過去にビジネスコンサルタントをしていた経験から、昨今、クライアントだった方からも転職について相談を受けたり、職務記述書の書き方のアドバイスなどを求められることが多くなっている状況です。

実は、自分のやってきたことを紙にまとめてみますと、本当に特定企業の社内だけで通用することに時間をかけてきた人が多く、転職の難しさというものを感じる次第です。

65才以上でも働きたいと願う国民が多いという、安倍首相の大嘘

安倍首相は「国内の8割が65才を超えて働きたいと願っている」などと、かなり事実を歪めた所信表明演説をしています。

実際の継続労働意向の理由は経済上の理由が6割近くをあげており、決して働きたいから働こうとしているわけではないことが見えてきます。

しかも高齢者が働く場所というのは非常に限られており、仮に労働意欲があったとしても、その意欲に見合う対価が得られ、しかもこれまでの知見が活かせる職業を見つけることは、足元の40代の危機をみても絶望的な状況であることがわかります。

年金受給を遅らせたいがために発言していることはもはや明白ですが、実際の国民は一体ここからどうやって生き延びていくことを考えたらいいのか、途方に暮れる状況です。

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