結婚が苦痛なのは、自己愛の強さとプライドの高さのせい
そういうと、「結婚を目的にしてはいけない。結婚はスタートなのだから、合わない相手と無理に結婚してストレスを抱え、不幸になる人も多いのだから、それならいっそシングルでいいんじゃないか」という意見もあるでしょう。
確かにそれも一理あります。しかし、特にネクラで人見知りの人にとっては、当面は結婚を目的に戦略的に行動しないと、成婚に至る可能性はかなり低くなります。
それに、よほどのワガママ・偏屈・ネガティブといった破滅的性格の相手でなければ、多少の違いを受け入れ相手に合わせることは、そう難しくありません。
それが苦痛だという人は、相手に期待・依存しすぎているのです。
「結婚とはこういうものだ」「妻はこうあるべきだ」とか、「相手がこうすべきだ」「それは相手がおかしい」などと自分との違いを認めず相手が変わるべきだという思い込みがあるから苦痛になるのです。
つまり、みな自分の価値観を優先して自分を曲げられず、高いプライドを下げられないから相手と衝突し、ストレスを抱え込んでしまうのです。
当然ながら、自分が譲れない価値観もあるでしょう。ならば、すり合わせできる価値観とできない価値観を明確にし、結婚前に確認しておけばいい。
「この人、アリかな」と思ったら、子づくりや子供の教育はどうするか、家事と育児の分担はどうするか、家は持ち家か賃貸か、家族旅行などの娯楽はどのくらいの頻度が理想か、貯金はどのくらいを目標とするか、将来は転職もありか、親との同居はあるか、といったことを話し合うのです。
たとえば多くの女性が避けたい「相手の親との同居」。
これも、「絶対NG」という姿勢では、「この人はうちの親とうまくやっていけないな」と思われる可能性があります。
男性側も、「自分の親との同居が必須条件」などとこだわれば、相手の女性からは「コイツ、まだ親離れできていないのか」とか「親の介護要員がほしくて結婚しようとしているな」と見透かされてしまいます。
しかし、女性が同居を嫌がるのは、自分たちの生活に口出しされるとか気を使うからが理由であり、男性側も高齢の親を残すのが心配だからで、そこが解消されれば問題ないはず。
そこでたとえば「2世帯住宅を建てるなどして生活圏を別にし、自分たちの生活が誰にも干渉されないならOK」とか、「遠く離れた親が心配で、介護サービスを利用したいのでちょっとお金がかかるのだけれど、それでもいい?」などと、相互にすり合わせすれば受け入れることは可能でしょう。
つまり自分の思い込みを捨てて歩み寄り、解決策を話し合えば、たいていの違いというのはそう大きな問題ではなくなるといういことです。
結婚は恋愛ではなく、協力し合って家庭を築くある種の契約というか、戦略的提携のようなものですから、「好きになれる人かどうか」ではなく「相手を尊重して協力し合えるかどうか」が判断基準です。