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ベネッセ、文科省と蜜月関係か。英語民間試験「TOEIC不参加」の理由で見えた不平等=原彰宏

そもそもは自民党から出た案だった

2012年10月、安倍晋三自由民主党総裁は、就任後ただちに経済再生と教育再生を日本の再生と位置づけ、党の組織運動本部に教育再生実行本部を設置しました。

発足時本部長が下村博文衆院議員、現在の本部長は馳浩衆議院議員で、いずれも安倍総理の出身派閥細田派(清和会)所属議員です。

教育再生実行本部の具体的な提言は、

・英語教育、理数教育、ICT教育を中心とした「成長戦略に資するグローバル人材育成部会提言」
・「平成の学制大改革」、「大学・入試の抜本改革」、「新人材確保法の制定」などを 盛り込んだ「第二次提言」
・教科書検定の在り方特別部会の 「議論の中間まとめ」
・教育再生推進法の制定に向けてその骨格を示した「第三次提言」
・教育投資・財源特別部会の「中間取りまとめ」
・チーム学校の推進、高等教育の成長戦略などを盛り込んだ「第四次提言」
・必要な教育投資とそのための財源の在り方に関する「第五次提言」

となっています。

その自民党教育再生実行本部による2013年4月の「成長戦略に資するグローバル人材育成部会提言」で、英語における4技能習得の必要性が訴えられ、「TOEFL」の活用が強く提言されました。

大学の従来入試の見直して「TOEFL」の一定以上の成績をもって受験資格とするように求められました。

このときの本部長は遠藤利明元東京オリ・パラ担当大臣、さらに副主査が萩生田光一現文科大臣です。

とにかく「TOEFL」採用を強く推したのが遠藤利明本部長(当時)で、ご自身はTOEFLは受けたことがなく、受けても10点ぐらいだろうと公言しておられるようです。遠藤議員自身が「自分は英語が全然ダメだ」と表明しています。

なぜ「TOEFL採用」が強く推されたのか?

その遠藤氏が、なぜこうも強く「TOEFL」採用することを推すのでしょうかね。

この「TOEFL」を英語教育に導入することは、2013年10月、内閣府に設置された教育再生実行会議でも議論され、「TOEFL」等を活用することが強く求められました。

この自民党案が、2014年に文部科学省中央教育審議会(中教審)で議論され、同年10月に4技能を総合的に評価できる民間試験の活用する答申が出されました。

つまり、英語民間検定活用は、文部科学省主導ではなく自民党主導で出されたもので、それを文部科学省は、数々の問題点が出ることを承知しながら推し進めざるを得なかったという経緯があります。

英語を話せる教育を学校現場に導入しようという議論に賛成の人は総じて英語が苦手で、反対の人は総じて英語が上手い……なんてことが、皮肉を込めて語られているようです。

Next: 英語民間検定導入は「蟻の一穴」? 日本の教育が崩壊しかねない…

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