受験生たちを平等に評価できるのか?
受験生自ら検定を選ぶ仕組みなのですが、各試験によっては受験地設定に関して都市と地方との格差が出ていることや、検定受験料負担の重さが家庭によって異なることで学生間で受験回数に差が出ることや、そもそも受験できない学生も出てくることが懸念されていました。
検定受験会場が都市部に集中していることで、地方の学生の交通費や宿泊費負担が、受験そのものをあきらめることにも繋がります。
「予備校に通う高校生と通わない高校生がいるのと同じ感覚」と文部科学省は説明しているようですが、ある現役高校生は、「予備校に通わなくても大学受験はできるが、検定試験を受けなければ大学にいけない仕組みが問題」と訴えていました。
この英語検定受験料に関して萩生田光一文部科学相の「身の丈“失言”」により、結局は英語民間検定導入は先送りとなりましたが、2024年度までに、あらためて導入を含め、抜本的に検討するとしています。
「廃止」ではなく「延期」です。
今回の改革はひと言でいうと「入試の民営化」だ……このような意見も出ています。
受験生のため?大企業のため?
なぜ、今回のような英語に限って、民間検定を入試に採用する必要があったのでしょう。
グローバル人材育成のためと言っているが
学問の世界もビジネスの世界も英語が事実上の共通語となっている現代社会において、いつまでも「翻訳と文法」だけの英語学習ではグローバル人材を育てることができないので、読み・書きだけでなく、聞く・話すを加えた4要素の学力検査が必要だという考え方があります。
そもそも「入試制度を変えることで、グローバル人材を育成することができるのか?」という疑問もあります。
そもそも「高校で4技能を学ぶカリキュラムにはなっていないのに、入試でその技能を求めるのはいかがなものか」という意見もあります。
「グローバル育成なら『TOEFL』一択で良かったのではないか」という意見もあります。
これに対しては、「TOEFLは米語であり、英国系の検査も入れないとバランスを欠く」という意見もあるようです。
また、「TOEFLなど外国の団体だけを指定するのは国策として資金流出に繋がるので、国内の民間企業にも参入を許した」という見方もあります。
民間企業選別には「大人の事情」が絡んでいるようで、そう考えるとベネッセコーポレーションがなぜ落札したのかが、非常に気になってしまいます。
この「大人の事情」を優先させ、6つの民間団体から7種類の試験を受験させることで、
・試験形態の違いをどう標準化させるのか
・受験費用の差をどうするか
など、どう考えてもフラットにならない歪な状況を「後解釈」で無理やりねじ伏せたような感覚を持つのは、どうしても否めないでしょうね。
この複数の民間企業が学生確保のために、
・点が取りやすい
・有利になる
などという謳い文句とともに、セールス活動がされているとのことです。なんなのでしょうね。