トランプ大統領が、アップルに5Gのインフラ整備の関与を問う
トランプ大統領は、米国での第5世代(5G)移動通信網のインフラ整備にアップルが関与できないか、ティム・クックCEOに尋ねたことを明らかにしました。米国は5Gに関してファーウェイに代表される中国との覇権争いにしのぎを削っており、中国への対抗意識の表れとみられます。
トランプ大統領はツイッターで、「アップルはすべてを兼ね備えている。お金や技術、ビジョンがあり、クック氏もいる!」と投稿しています。5Gは4Gと比較して50-100倍の通信速度があるとされ、産業界に大きな変化をもたらすとみられています。
米連邦通信委員会(FCC)は、ファーウェイとZTEを「安全保障上の脅威」に当たる企業に指定し、連邦政府から補助金を受けた米国企業が両社の製品を使用することを禁じる規制案を全会一致で承認しました。次世代高速通信規格「5G」の普及をにらみ、中国機器を米市場から締め出す狙いがあります。
トランプ大統領は5月、ファーウェイなどを念頭に、安全保障に深刻な脅威をもたらす外国製通信機器の使用を禁じる大統領令に署名しており、FCCとは別に、米商務省は米国企業からファーウェイへの輸出を原則禁止する措置を導入済みです。ファーウェイ製のスマートフォンでグーグルのソフトが使えなくなるなど、さまざまな影響が出ています。
一方、EUはブリュッセルで大使級会合を開き、5Gの機器供給業者を選定する際に厳しい基準を採用する案に支持を示しました。供給業者が第3国で従う必要のある法的、政治的な枠組みなどの技術以外の要因をEU加盟国は検証する必要があります。EU加盟国は供給業者の多様化を図り、1社に依存してはならないとも提言しました。EUは来月の閣僚会議でこうした方針を承認するとみられています。
このように、ファーウェイを取り巻く環境は、米欧からの締め付けでますます厳しくなってきました。ファーウェイは日本からの部品調達を増やすとしていますが、日米同盟の中で米国がそれを許すのか、非常に興味深いところです。ここは完全に政治マターになってきます。米中経済戦争が日米同盟にも影響し始めているわけです。
さて、株高をけん引してきた米中通商交渉の進展への期待ですが、現状は混とんとしています。しかし、市場は楽観的です。多くの投資家がそう考えるのですから、仕方がないところですが、本質を忘れていることだけは確かなようです。
今週は28日に米感謝祭が控えています。この前後の週はかなり堅調に推移しやすい傾向があります。そのため、目先は下げにくい状況が続きそうです。
しかし、ラッセル2000が下落するなど、相変わらず一部の主要指数だけが上がるという構図です。このずれが現在の株高の違和感につながっています。一方で、注視すべき企業業績の動向とバリュエーションですが、S&P500のPERは19.30倍、来年は17.42倍で、直近では最高水準になりました。このように、割高感が全く払しょくされていません。
過去のPERが20倍を超えたことは何度かありますが、その後の株価推移を調べると、大きく上昇していることが少なくありません。確かに過去は上昇していることのほうが圧倒的に多いのが実態です。割高でも株価は上がることが少なくありません。いまもそうなのかもしれません。
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