海外勢の日本株買いはPF調整に過ぎない
また、企業業績の上方修正が続いたときにも、海外勢は日本株の買いを急激に増やしたことがありました。しかし、これは過去30年で一度もなかった異例の出来事だっただけに、さすがにインパクトがあったといえそうです。
では、いまはどうでしょうか。日銀はETFの購入を明らかに減額させています、黒田総裁も「状況を見ながら調整する」としています。これが増額を意味しないことは明白です。むしろ、買いすぎたことによる弊害を意識しており、減額を進めていくことを示していると考えるのが妥当でしょう。
また、企業業績については言うまでもないでしょう。日経平均構成銘柄のEPSは毎日のように低下しています。つまり、過去に海外勢が買い増しをした状況と真逆のことが起きています。
これらからも、いまの海外勢の買いが日本への期待の反映ではないことは明白でしょう。単純にポートフォリオ上の日本株の配分が低下しすぎたことに対する調整的な買いでしかないといえます。今回の買いで、日本株もかなり戻しました。すでに十分に穴埋めしたものと思われます。
このように考えると、海外勢の買いがさらに続く、上値を押し上げるような構図にはなりにくいといえます。
海外勢は今回の買いで、高値を買ってしまいました。ここから上がらなくなると、非常に苦しくなります。下げ始めると、評価損が積み上がっていきます。そうなると、今度は逆に損切りルールに引っ掛かる可能性が出てきます。その場合には、機械的に売ってきます。そうなると、下げが下げを呼ぶ動きになることも十分に想定されるでしょう。
海外勢のさらなる買いを期待して、上昇を見込むのはそろそろ危険でしょう。冷静さが必要といえそうです。
チャート上に小島のようなものができる「アイランド現象」は15日目に入りました。このような現象になると、通常は下げるのですが、なかなか下げません。ちなみに、過去のこのような状況下での調整では、1,000円以上の下げになっています。大幅下落の際には1,690円の下げになっています。
この値幅のように下げると、最大で2万1,800円から2万1,500円程度までの調整となります。しかし、いまの株価動向を見るかぎり、そのような下げは見込みづらいといえそうです。
日経平均株価は年足でいったん下げると、2年連続以上の下落になっています。年末に2万円割れという見通しはほとんど聞かれませんが、そのリスクも含めて柔軟に見ていきたいところです。
ちなみに、これまでの株価の大幅な変動があったときを起点にした日柄分析では、12月5日がかなり重要な日柄になりそうです。過去の高値や安値の日付とそれぞれの期間の日数をカウントしてみてください。これらを様々な角度から調べてみても、12月5日がかなり重要な日柄になるとの結果が出てくるはずです。