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世界の真ん中で輝かなかった日本の2019年~首相認識と国民感覚に大きな乖離=今市太郎

産業衰退は98年以降、凄まじい状況に凋落

このメルマガでは、97年に無理やり消費増税を行った結果、翌年の98年から本格的に国民の労働分配率も実質賃金も大幅に減少しはじめて、結局デフレに突入し、今日もそこから実はまだ抜け切れずに逆戻りしようとしているという内容をご紹介しています。

産業衰退はこの98年あたりから実に顕著で、ほとんどの製造業というものが(かろうじてクルマを除けば)衰退の極みになってしまっていることを強く感じさせられます。

とはいえ、日経平均の株価を見ればそれほど心配するほどのことではない、という見方をする向きが多いのも事実です。

しかし、以前に当メルマガでHSBCの分析結果をご紹介したとおり、実に実態よりも35%もかさ上げして下駄をはかせたのが今の株価指数の現実であるとした場合には、足もとの株価など一切信用できるわけもありません。

存在感がまったくない日本のメーカー

シラーPERでここ10年の売上動向から分析すると、実は全然たいしたことのない日本企業が相当数存在することにも驚かされます。

ざっと見ても、この20年間に日本市場から消え失せたものといえば、再生可能エネルギー関連はシャープが消滅し、三菱電機京セラパナソニックがすべて消滅し、もはや国内には跡形もない状況です。

また通信領域も、米国ではアップルをはじめとして大きく市場が拡大して巨大化した企業が多かったとと拮抗するように、サムスンやファーウェイが市場を席捲する形となりました。

ここでも、もはや日本のメーカーの存在感はまるでありません

かろうじて部品の分野にその痕跡があるだけで、実は5Gについても関連企業はまだ結構残されており、国内個人投資家の投資先として物色されてはいるものの、5Gによって展開される本質的なビジネス領域に踏み込めている企業は皆無といってよい状況です。

「『桜を見る会』のデータは、シンクライアントベースでクラウドのサーバーに保管されていたが、捨てたのでもうありません」という形で注目を浴びたクラウドの世界も、主力はアマゾン、マイクロソフト、グーグル、オラクルが世界の主流・標準化の基本となっています。

国内では会計ソフトの「Freee」が東証マザーズにIPOして、SaaS型クラウドサービスとして話題になっていますが、国内だけを相手にしたきわめてニッチな市場を取り込む状況にすぎず、大勢に影響を与えるような存在では無くなっていることに改めて愕然とさせられます。

この視点で見ますと、もはやバイオ医薬もM&Aでなんとかする以外には本邦企業には先導的利益機会はありません。

リチウムイオン電池も最初は調子が良かったものの、もはや価格の下落スピードが早すぎて液晶の二の舞寸前の状況です。

IoTとAIを組み合わせた自動運転の領域も、これだけ大量に自動車を生産してきた日本のメーカーがイニシアチブをとることなくダメになりそうな状況です。

Next: 税金を大量投入しても復活できない?出生数激減が国内産業衰退の決定打に…

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