ホームレスになる前は肉体労働者
もちろん、ドヤに籠もらないでホームレスになっている人もいる。では、日本のホームレスは、何歳代が多いのだろうか。厚生労働省の出している『平成24年ホームレスの実態に関する全国調査検討会報告書』を紐解くと、このように書かれている。
「55歳以上が全体の7割以上を占める」
一流企業を失職してどうにもならなくなった男性が、最後にホームレスになったという転落話を私たちはしばしば聞く。
あるいは、ホームレスになる人々の中には、自営業をやっていて多額の負債を抱えたまま会社を倒産させてしまったとか、パチンコや公営ギャンブルにハマって多重債務者になったとか、そういった経歴の人間もいる。
しかし実際にホームレスを構成する大多数はそうではなく、別の人生のストーリーを持っている。
それは、「若い頃からずっと肉体労働をしていたが、年を取ったり、身体を壊したりしたのをきっかけに働けなくなり、ホームレスにまで落ちた」というものだった。
厚生労働省は「初めて路上(野宿)生活をする前にやっていた仕事」をも調査しているが、全体を見ると45.9%が「建設・採掘従事者」であったことが分かっている。他に多かったのは、「輸送、機械運転従事者」と「運搬・清掃・包装等従事者」である。どれもつらい肉体労働だ。
※参考:平成24年ホームレスの実態に関する全国調査検討会報告書(PDFファイル) – 厚生労働省
肉体労働は、55歳が限界というひとつの証明
あくまでもホームレスで大多数を占めるのは、こうした肉体労働をしていた人たちの生活破綻である。建設作業員などは社員であっても日雇い労働者に近く、怪我をしたり身体を壊したりすると途端に生活に窮する。
人間だから病気になったり、怪我をするのは誰にでも起こり得ることだ。そして、年を取れば取るほど身体が言うことを聞かなくなっていく。
ホームレスを構成しているのが「55歳以上が全体の7割以上を占める」ということは、肉体労働は55歳が限界だというひとつの証明になっている。
だから、肉体労働をして生きている人たちは、一般論で言えば、それができるのは40代の終わりまでだと考えるべきだ。50代に入ると、とたんに厳しくなる。タイムリミットは往々にして55歳になる。