この下落を私がポジティブに捉える経済理論的な理由
世界の生産・消費ともに落ち込み、間違いなく景気は後退します。当面の決算や経済指標は悲惨なものとなるでしょう。株価もそれを懸念して大幅に下げているのです。
しかし、投資とは常に未来を見るべきものです。私はむしろ、今回のショックがあって良かったと思っています。
景気は、遅かれ早かれ後退に向かうことは明らかでした。金融緩和により供給過剰が発生し、需給バランスが崩れつつあったからです。供給を減らす動きが起きない限り、いつまでも不安要素だけが頭をもたげていました。
今回、企業の生産活動が停滞することで、結果的に在庫調整が行われます。倉庫にあるものがなくなり、やがて需要に対応しきれなくなるでしょう。
そんなタイミングで夏になり、新型コロナウイルスも落ち着きを見せるでしょう。すると、企業は慌てて生産を再開させなければなりません。工場がフル稼働することでさらに需要が増え、いよいよ供給を積み増さなければならない「景気回復」局面となるのです。
すなわち、今回の経済の一時的な停滞は、長い目で見れば「アク抜け」だったということになるのです。
だからこそ、私は半年先の経済情勢に明るい見通しを持っているのです。
東日本大震災の半年後にはGDP+10%
これは単なる夢物語ではありません。
2011年の日本は、東日本大震災後は電力不足や「不謹慎」ということもあり、様々なイベントが自粛されました。経済は一時的に大きく落ち込んだのです。まさに現在と似たような状況です。
しかし、その反動は案外早く訪れました。四半期ごとのGDPは、震災が発生した2011年1~3月、次の4~6月こそ大きく落ち込みましたが、半年後の7~9月には年率10%以上の大幅なプラスとなっているのです。
すなわち、経済は落ち込んだらその反動で回復する機能をしっかりと持ち合わせているのです。
私は、今回に関しても十分反動があると考えています。もっとも、それまでの企業業績・経済指標はひどいものになるでしょう。しかし、それで株価が下がるのなら、その先の回復を考えるとこんなに良い「買い場」はありません。
私はこれから時間をかけて大きく買うでしょう。
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『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』(2020年3月3日号)より
※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。