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新型コロナが潰す日本のキャッシュレス~ポイント還元事業の成果が水の泡となる?=岩田昭男

北陸と山陰という加盟店分布にも特徴がみえる

加盟店の分布(人口一人当たりの加盟店数)を見てみると、一番多いのが、都道府県別に見ると、石川で、東京、京都、福井、鳥取の順である。さらにベストセブンに入る6位富山、7位島根も含めると東京、京都に北陸(石川、福井、富山)、山陰(鳥取、島根)が続くという分布になる。

石川がトップの理由は2015年の北陸新幹線開業以来続く金沢の観光ブームが影響している。

初めて東京と新幹線が結ばれた時に、金沢にやって来た東京人がみな電子マネーのSuicaで買い物しようとして殺到したため、現金でしか対応できなかった金沢の店はパニックに陥ったといわれる。その時、かなりの売り逃しをしたと言われる。それがトラウマになっているのだ。

そのためインフラ作りには真っ先に取り組むようにしているのではないか。

一方、山陰が出てくるのは、過疎地ではあるが、観光地でもあり、中小小売店が、キャッシュレスに拒否反応がなく、積極的に取り組もうとしているからだろう(もちろん今回財政的な持ち出しがないからでもあるが)。

利用者の動きも活発であり、店も増えてきているから、このままいけば政府もかなりの目的を達成できるのではないだろうか。

新型コロナウイルス肺炎が足を引っ張る

しかし、問題はこれからである。

というのも昨年暮れから中国で発生した新型コロナウイルス肺炎による思いがけない災禍でキャッシュレスにも影響があるからである。

中国・ 武漢で始まったこのコロナ感染は猛烈な勢いで世界に広がった。春節時(旧正月)には、中国人の入国を日本政府が制限しなかったばかりに、国内の感染も拡大していった。さらに大型クルーズ船でのウイルスの封じ込めに失敗したために、2月に入ると全国各地で毎日のように日本人感染者の報告が上がるようになった。

それを警戒した政府は、2月中旬にイベントや講演、集会などまとまった人が集まる機会を減らすように指導を始めた。大相撲やプロ野球、Jリーグなどが次々中止や延期、または無観客試合になっていった(私の講演会も中止になった)。

Next: 近づく新型肺炎パンデミック/ポイント還元事業の終了と東京五輪が重なる

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