日本の「致死率3.60%」はかなり高い
ちなみに日本と同じ1,000人台前半の感染者数で、医療崩壊の起こってない国々の致死率を見て見よう。
アイルランド
・感染者数:1,329人
・致死率:0.53%
ルクセンブルグ
・感染者数:1,099人
・致死率:0.73%
チェコ
・感染者数:1,394人
・致死率:0.22%
これを見ると、やはり日本の3.60%の致死率はかなり高いと言わねばならない。
ちなみに新型コロナウイルスが発生した武漢のある湖北省に致死率は4.66%だ。日本はむしろこれに近い。医療崩壊も起こっておらず、感染者数が1,000人台であれば、1%未満の致死率が妥当なのではないのだろうか?
日本の医療水準の高さから見ると、0.48%のドイツと同程度の致死率であってもおかしくない。
低いPCR検査人数と実際の感染者数
日本のこの致死率の高さの理由はなんだろうか?
やはり一番に考えられるのは、感染者数が過小に算定されているということではないか? つまり、実際の感染者数は現在の10倍くらいで、死亡者数もそれを反映して多いものの、分母の感染者数が低く算定されている結果、致死率が高くなっているということだ。
実際の感染者数ははるかに多いのではないだろうか?つまり、致死率算定の基礎となる母数がずっと多いということだ。
日本の死亡者数は3月25日現在で43人である。もしこれが医療サービスが完備されているドイツのような国の致死率、0.48%程度を反映しているとするなら、実際の感染者数は8,000人から1万人くらいになる。
これを実証する手立てはいまのところない。しかし、もしこの感染者数が事実に近いのであれば、それが過小に算定されている原因はなんだろうか?
おそらくその答えは明らかだろう。新型コロナウイルスの感染を調べるためのPCR検査の件数が相当に少なく、感染者が発見できていないということだ。
3月13日までに公表されたデータだと、世界の国と地域で行われた検査数は以下のようになっている。
中国・広東省:32万件
韓国 :25万件
イタリア :8万6,000件
ロシア :7万7,000件
日本 :2万2,184件
これを見ると、日本のPCR検査の件数は低い。「WHO」の検査を徹底すべきとした声明にもかかわらず、日本の検査件数の伸びは遅い。医師が検査を要請しても、検査を実施している厚生労働省が管轄する「帰国者・接触者相談センター」は、その5%程度にしか対応していない模様だ。検査に対して消極的だ。
これは、オリンピックの開催が予定されていたため、感染者数を少なく算定したいという意志がどこかで働いていたのかもしれない。
もしそうだとすると、オリンピックの延期が決まったいま、PCR検査を抑制する理由はなくなった。もしこれがきっかけとなり、PCR検査件数が増えると、感染者数も一気に増えるかもしれない。それがアメリカや欧州などで起こっているオーバーシュートによる東京の閉鎖(ロックダウン)ということにもなりかねない。
絶対に安心してはならない。これからの成り行きを注視し、我々もしっかりと対処しなければらないだろう。