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新型コロナ、完治後も他人に感染? 研究が進む新症状「胃腸障害」と8つの変種=高島康司

重症化のもうひとつの症状「胃腸障害」

次は、新型コロナウイルス感染で重症化の兆候となる可能性のある激しい胃腸障害の症状についてだ。

新型コロナウイルス感染で重症化した場合の一般的な症状は、重度の肺炎である。喉から肺の奥まで炎症が発生し、呼吸不全から死に至るケースだ。

これは新型コロナウイルスが細胞に侵入するときに利用される「ACE2」というレセプターが肺胞細胞に集中的に発現しており、そこでウイルスが増殖することによる。

いまは心臓や腎臓に発現している「ACE2」レセプターから体内に侵入して、心疾患や腎臓疾患をいきなり引き起こすケースも確認されている。それが、新型コロナウイルスの新種であるとする議論もある。

今回、「南京医科大学」の研究チームが3つの病院で入院している1,314人の感染者を調査したとろこ、86人の重症患者の86%に重度の胃腸障害があった。

ストレスやショック、そして炎症などさまざまな原因で胃腸障害は発生するので、新型コロナウイルスの感染とは一概に結び付けることはできない。しかし、胃腸にも「ACE2」レセプターが発現していることから、そこから胃腸に入った新型コロナウイルスが障害を引き起こした可能性もある。

また、激しい胃腸障害を持つ患者では敗血症を発症し、これが引き金となり死亡するケースも見られた。

このように見ると、激しい胃腸障害が、新型コロナウイルスの感染で患者が重症化するかどうかの予兆にもなり得る可能性がある。

この「未査読」の論文の執筆者は、激しい胃腸障害の症状を見逃さないようにすべきだとしている。

8つの異なる新型コロナウイルスの株

このように、新型コロナウイルス蔓延が拡大するなか、急速に進む研究によって「Covid-19」の多様な特徴が解明されつつある。そうした研究でももっとも注目されているのは、新型コロナウイルスの変異に関する研究だ。

しかし、さまざまな記事を読むと、なにを基準にして変異型を特定するのか、そしてどのくらいの変異型のタイプがあるのか統一した見解はまだないようだ。

このメルマガの記事でも新型コロナウイルスは進化しつつあり、4つの異なるレセプターから細胞に侵入して、それぞれ異なった症状を引き起こすタイプがあることを書いた。

それらは、次のレセプターだ。
・ACE2 レセプター
・フーリン蛋白質
・GRP78 レセプター
・CD147 レセプター

レセプターの違いは、それぞれ新型コロナウイルスの変異型を表しているとする見方がある。

一方、3月初旬には武漢発祥の新型コロナウイルスには、もともと「L型」と「S型」という2つのタイプがあることが、日本でも報道された。これは、遺伝子配列に基づく分類である。

中国の英字科学誌「国家科学評論」によると、ウイルスのサンプル103例の遺伝子配列を調べ、うち101例を「L型」か「S型」に分類した。

約70%がL型だった。「L型」の方が感染力が強いとみられ、湖北省武漢で爆発的流行が起きた時期に多く確認され、1月初旬以降は減少した。

「S型」はコウモリから検出されたコロナウイルスに遺伝子的に近く、古い型とみられる。一つの型にだけ感染する症例が大半だったが、武漢への旅行歴のある米国の患者1人は、両方の型に感染した可能性があった。

このように、さまざまな研究から新型コロナウイルスには明らかに変異型が見られるものの、どのくらいの種類の変異型が存在するのか分かりにくい状態が続いていた。

そうしたとき、3月27日に米主要紙のひとつである「USAツデー(USA Today)」に興味深い記事が掲載された。

それは「8つの株が世界を循環している、科学者に与えたヒントがこれだ」という題名の記事だ。

Next: これまでさまざまな研究者が行っていた新型コロナウイルスの遺伝子解析を――

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