一律ではなく「貧困世帯の救済」が狙い
それでも最大39兆円の財政支出というのは、過去最大規模の額ではあります。
ただその内訳を見ますと、39兆円のうち26兆円が法人の社会保険や納税の猶予に充当されると言われています。
法人の社会保険や納税の猶予というのは、あくまで猶予であり、どこかでは納めなければいけなくなります。(報道では1年間の猶予と言われていますが)これは実体的には、金利が無いということ以外には、1年返済で納税資金を借りて納税するのとほぼ変わりませんし、純粋に民間の資金が26兆円増えたということにはなりません。
また、6兆円強を低所得者や中小企業に給付すると報道されています。
低所得者への給付ですが、年収換算で住民税非課税水準まで落ち込む世帯が主な対象であり、収入が半分以下となった場合も一定の要件を満たせば対象となる可能性があります。
年収換算で個人住民税非課税の水準まで落ち込む場合、東京23区内に住む会社員で単身世帯は年収100万円以下、専業主婦と子ども2人の4人世帯では年収約255万円以下であれば住民税が非課税となると言われており、アメリカで行われる国民一律の給付とは異なり、貧困世帯の救済という色彩が強いようです。
また収入が大幅に減った中小企業に最大200万円、フリーランスを含む個人事業主に最大100万円の現金を給付するようです(減収幅などの条件はこの原稿を書いている4月7日現在では調整中の様です)。
現金給付は6兆円規模に達しない?
上記の個人向け、中小企業、個人事業主向けの給付はともに申請制です。
現実にはいろいろな理由で申請しない個人や中小企業、個人事業主は結構多く、6兆円の規模には達しないのではないかという人もいます。
この申請制にするというのは役所がよく使う手であり、申請書自体が複雑だったり、エビデンスを求められたりして断念してしまう人も結構います。
このような役所の申請制による給付は、必ずと言っていいほど複雑な申請内容になります(なぜかと言いますと、虚偽申請等の問題が起こった時、公務員は自分たちの責任にならないようにちゃんと厳しい制度で申請を受けて審査したというエビデンスを残したいためです。今のような危機に瀕した状態でも、このような役所の常とう手段を使ってくるのかと残念な気持ちになりますが…)。
また申請制なので、申請後に確認して、給付するまでは時間がかかってしまいます。まさに今必要なのに、給付されるのは1か月半後、2か月後という形になってしまいます。