今回の減産の勝者は米国か
さて、今回は紆余曲折がありましたが、最大の勝者はトランプ大統領でしょう。トランプ大統領は米国の石油生産の積極的な削減を拒みながら、メキシコのロペスオブラドール大統領やロシアのプーチン大統領、サウジのサルマン国王との電話協議を通じて合意を仲介しました。
米国の生産者はすべて民間企業ですし、法律で強制的に減産を指示することはできません。今回の措置が精いっぱいでしょう。その中で、今回の減産をまとめ上げたのはなかなかの交渉力であるといえます。
プーチン大統領とトランプ大統領、サウジのサルマン国王はOPECプラスの減産合意を12日夜の電話会議で支持したとされています。そのうえで、首脳らは引き続き連絡を取り合うことで一致したことも明らかにしています。
まだまだ紆余曲折がありそうですが、ひとまず原油安に歯止めがかかる可能性が出てきました。
米石油掘削リグ稼働数は減少
米石油サービス会社ベーカー・ヒューズが10日公表した統計では、同日までの週の米国内の石油掘削リグ稼働数は前週比58基減の504基となりました。4週連続で減少し、16年12月以来の低水準となりました。前年同期の稼働数は833基。大幅な減少で、米国内の産油量の大幅な減少が見込まれます。
米国内の石油掘削リグ稼働数がこの2週間で激減しています。2週間で120基ものリグが稼働停止になっています。これはきわめて大きい減少といえます。
こうなると、産油量の減少は確実に続きそうです。さすがに米シェール企業も生産継続ができなくなってきたということでしょう。
このような状況の中で、原油相場の落としどころを見つけていくことになります。
また、米国内のガソリン需要の落ち込みもすごい状況です。需要サイドの弱さも相当なものがありますので、これらも考慮したうえで原油相場を見ていく必要があります。