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「好きなことで副業」は危険。迷えるサラリーマンを救う副業選びの「ABC理論」とは?=俣野成敏

プロダクトアウトで成功するのは、ひと握りの天才だけ

たしかに、プロダクトアウトの発想が、世界を変えてきた一面があるのは事実です。

現在の代表的なプロダクトアウト型の企業としては、グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンといった、いわゆるGAFAが挙げられます。彼らは、それまでの世界にはなかったサービスを生み出し、顧客に提供することで世間をあっと言わせ、世界のトップ企業となりました。

GAFAの場合、彼らのサービスを市場が受け入れたという意味では、「GAFA→市場」のように、矢印が彼らから市場に向かって伸びていますし、次に世に放たれる商品やサービスに期待を寄せながら待ちわびるファンも大勢います。

しかし残念ながら、これができるのはひと握りの人に限られます。故スティーブ・ジョブズ氏は、「多くの場合、人は形にして見せてもらうまで、自分は何が欲しいかわからないものだ」という名言を残しています。このように、顧客が欲しいと思ってもいなかったことを先回りしてビジネスにできるのは、一部の天才たちだけに許されることです。

私たち凡人は「マーケットイン思考」に徹すること

だとしたら、「私たち凡人はどうすればいいのか?」というと、マーケットイン思考に徹することです。

マーケットイン思考とは、「顧客が欲しいと分かっているもの」を扱うのが鉄則です。「市場→私たち」のように、矢印が市場から私たちに向かって伸びているものです。「マーケットが求めているもので、自分が提供できるものとは何か?」と考えることがマーケットイン思考です。

自分の好き嫌いやこだわりを捨てるだけで、ぐっと視野が広がります。

いくら大好きなものでも、市場から評価されない状況では、そもそもビジネスとしての継続が困難ですし、せっかく好きだったものが市場に打ちのめされることで、嫌いになってしまう可能性だってあります。

副業(個人事業)は、変化の激しい時流に合わせた小回りの良さも強みなのです。

ビジネスコンセプトを決める「ABC理論」

個人事業主がビジネスのコンセプトを決める際に、私が提唱しているのが「ABC理論」と呼んでいる考え方です。

(A)というのは、あなたの未来の顧客が「現在いる場所」です。顧客は課題や悩み、恐怖などを抱えています。

それに対して(B)というのは、「問題解決策」「達成したい目標」「叶えたい欲求」などのことで、あなたが(B)地点に行く方法を知っていれば、それがビジネスになり得ます。

仮に、あなたが「未来の顧客が抱えている問題(A)に対して、自分がその問題解決(B)を提示することをビジネスにしよう」と考えた時に、(A)から(B)へ行くための橋渡しの役割をするものが「商品(C)」というわけです。

商品(C)はモノ(有形)の場合もあるし、ノウハウ伝授などといったサービス(無形)の場合もあるでしょう。

Next: 多くの場合、顧客とは“過去の自分”です。もともと、人の購買行動とは――

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