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ぐるなび決算に見る飲食業の苦境。コロナ禍のデリバリー対応で明暗=シバタナオキ

コロナ禍の飲食業界の全体トレンド

ぐるなびの決算説明資料の中にいくつか飲食業界全体のトレンドを把握するのに役立ちそうなスライドがあったので、ご紹介していきます。

ぐるなびは多くの飲食店で利用されており、マーケットシェアが十分大きいので、ぐるなびの出店店舗の傾向は飲食業界全体のトレンドにかなり近くなるのではないかと思います。

初めにこちらのグラフですが、ストック型の売上が4月、5月と大きく落ち込んでいます。売上が大きく減少した最大の理由は、ぐるなびが「休会対応」を実施したためです。

飲食店側は、売上自体が大きく落ち込んでいるため、ぐるなびの料金を支払える状況ではありませんので、一時的に休会という形で対応しています。

右側のグラフにある通りに加盟店の数は減ってきてはいますが、休会対応したことによって、まだ復活する望みが残っていると言えるのではないでしょうか。

6月の月間売上は3月との比較で約43%、前年同期比で約39%と、まだ通常時の4割稼働という感じだと思います。ぐるなびが休会対応をすることで、一時的に売上は落ち込みますが、コロナウイルスが落ち着いた時に顧客の再獲得コストを少しでも減らすことができ、一刻も早く売上を元に戻すことができるようにするための救済措置だと考えれば良いでしょう。

左側のグラフの「ネット予約件数」が6月にはだいぶ戻ってきていますが、右の「ネット予約件数の前年同期比」によると、まだ半分程度の回復という状態です。

ひとつ前の「ストック型の売上の推移」のグラフと合わせて考えると、飲食業界の稼働は今のところ正常時の40%~50%程度だと推測できるのではないでしょうか。

この資料はぐるなびの決算にいつも出てくるグラフです。横軸が有料加盟店数、縦軸が1店舗あたりの売上(ARPU)を示しています。

4月と5月は、東京都の飲食店の時短営業要請があったこともあり、1店舗あたりの売上が大きく落ち込んだタイミングでした。

6月以降は経営難により退会した飲食店が増えたため、有料加盟店の数が減少する一方、休会から復帰した店舗がもあり、一店舗あたりの売上が上がってきています。

ぐるなびとしては、コロナウイルスが落ち着いた後には右図のように、新サービスの導入や営業エリアを拡大することで、店舗数も一店舗あたりの売上も再成長が望めると予想しています。

Next: デリバリー対応の飲食店はわずか27%、普及が遅れる日本

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