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ぐるなび決算に見る飲食業の苦境。コロナ禍のデリバリー対応で明暗=シバタナオキ

コロナ禍で「ぐるなび」が苦境に陥る一方、「LINE」の飲食関連事業は好調です。明暗を分けたのは店側のデリバリー対応遅れ。2社の決算から業界トレンドを紐解きつつ、記事後半では現状のテイクアウト・デリバリー対応比率を示す面白いデータもご紹介します。(『決算が読めるようになるノート』シバタナオキ)

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※本記事は有料メルマガ『決算が読めるようになるノート』2020年8月11日号の抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:シバタ ナオキ
AppGrooves / SearchMan共同創業者。東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻 博士課程修了(工学博士)。元・楽天株式会社執行役員(当時最年少)、元・東京大学工学系研究科助教、元・スタンフォード大学客員研究員。

「LINE」レストラン関連ビジネスの決算

2020年4月から6月の四半期決算が出揃ってきましたので、今回は飲食関連のサービスを提供する会社を比較していきます。

その中でもコロナ禍で売上を大きく増やしている「LINE」と、大きく減らしている「ぐるなび」の対照的な2社を比較したうえで、飲食業界のトレンドがどのような方向に向かっているのか、ということも見ていきたいと思います。

冒頭でも書きましたが、LINEの飲食関連ビジネスは、コロナ禍において非常に大きく売上を伸ばしています。
※参考:LINE株式会社 2020年12月期 第2四半期 決算補足説明資料(2020年7月29日)

4月-6月のLINE全体の四半期売上は584億円で前年同期比+5.3%でした。その中でも戦略事業と位置付けている「LINE Pay」「LINEグローバル」「グルメ領域」などの四半期売上は79億円で前年同期比+11.7%と成長しています。

一般的に飲食関連のビジネスはコロナウイルスの最中は厳しくなるのですが、LINEのグルメ領域事業の「LINEデリマ」などテイクアウト・デリバリーに関連した事業の取扱高は前年同期比+66.8%とが大きく伸びています。

LINEのトラベル領域の取扱高が前年同期比▲81.2%と大きく落ち込んでいることと比べると、非常に対照的な結果だと言えるのではないでしょうか。

「ぐるなび」の決算

続いてコロナ禍で苦戦している、ぐるなびの決算を見ていきたいと思います。
※参考:株式会社ぐるなび 2021年3月期 第1四半期 決算説明会資料(2020年7月30日)

四半期売上は前年同期の75.5億円から、前年同期比▲76.4%の17.8億円と売上が約1/4まで落ち込んでしまいました。

上図の「サービス別売上」のグラフを見れば分かる通り、ストック型のサービスも、スポット型のサービスも両方大きく落ち込んでいる形になり、相当大きなダメージがあることが読み取れます。

四半期の売上が17.8億円で、営業利益が▲38億円と売上の2倍以上の赤字が出てしまったというのが今回の四半期決算でした。

2019年5月に楽天と業務・資本提携を強化する発表をし、いわば楽天グループ入りしているので、短期的な資金面やキャッシュフローの心配はないとはいえ、非常にお腹が痛い状況になっていると言えるのではないでしょうか。

Next: ぐるなびが示す飲食業界全体のトレンド。打開策は?

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