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トヨタ「首位転落」で激震の自動車業界、伸びる会社・倒れる会社の分かれ目は?=栫井駿介

日産

日産自動車<7201> 日足(SBI証券提供)

日産自動車<7201> 日足(SBI証券提供)

リーフを作った電気自動車の先駆けでもあって、これまでの歴史を振り返ると一度は潰れかけましたが、カルロス・ゴーンの下で強烈なコストカットを行いました。

一方で、最近の業績は販売台数を伸ばすことを最大限に重視したハリボテだったということができます。フリート販売といってアメリカではタクシー会社、あるいはレンタカー会社に大量販売することによって、販売台数を伸ばすことができていたのですが、それらで大量に売った物というのは、すぐに中古車市場に出回りやすいです。そこで安い価格で大量に日産の中古車が出てくるということになると、ブランド価値自体が毀損してしまうことになっているわけです。

今の日産は、そうやってブランド価値を毀損して、見かけ上の売上だけを立てて業績を増やしているように見えました。けれどもゴーンがいなくなってハリボテの意味がなくなってしまいましたし、その反動というのが今の巨大な赤字という形で出てきています。

また、ルノーとの関係も微妙です。そもそもゴーンを派遣してきたのが、この3分の1以上の株式を持つ大株主のルノー。ルノーが日産系列の利益をグループとして取り込んでいきたいという思いから、ルノーからの指示が資本関係上強くなってしまっています。

さらに、このルノーとフランス政府の力がものすごい強い会社になっていて、もはや国vs国との軋轢(あつれき)を生むような会社になって、とても難しい状況になっています。このような状況から、今どうしても出口が見えない状態になってしまっています。

三菱

三菱自動車工業<7211> 日足(SBI証券提供)

三菱自動車工業<7211> 日足(SBI証券提供)

三菱は、日産が3分の1以上出資したことにより、ルノー・日産グループに入りました。

三菱というと悪路や急な坂に強い車を作る技術を持っていて、東南アジアや欧州といった道の険しい所に人気があります。

一方で、業績を見ますと営業利益率が低かったり、技術を持っていながらそれを必ずしも安く作ることができず今ひとつですし、規模がかなり小さいというところもあります。

規模があればコスト削減のひとつの大きな要素になりえますが、規模がないということで、コスト競争力もありません。ルノー・日産グループで他の部品の共通化などをすると、コスト競争力はついてくるかなとも思いますが、そうなると、今度は車自体の独自性が失われてしまうということにもなり兼ねないので、結構むずかしいところです。

ルノー・日産グループの中で飲み込まれ、埋もれてしまうという危険性は十分にあると思っています。そもそも今の時点でも利益が出ている会社ではありませんから、厳しい状況にあると考えます。

マツダ

マツダ<7261> 日足(SBI証券提供)

マツダ<7261> 日足(SBI証券提供)

マツダは近年はSUVなどに傾注して人気でしたから、売り上げを伸ばしていた側面もあって、エンジンに強みがあり、車好きには好きな人も多いという会社です。一方で、この会社はそれ以外の特徴というのがあまり見当たりません。

一時は、「マツダ地獄」といわれるようなことがありました。マツダが値引き販売をして車を売る結果、買取価格も安くなってしまいました。買い取る価格があまり付かないということになると、新車を買いたくても安い車しか買えなくて、結局、値引き販売をしてくれるマツダで買うしかない。つまり、マツダから延々に逃れることはできない……といったようなことが起きていた時期もありました。

それが何を意味しているのかと言うと、ブランド力が強くはなかったということを意味しています。ブランド力が確立していない今、車好き以外のニーズがあるのか?というところには疑問を覚える会社です。

業績的にも、あまり振るわない結果になっています。

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