買える会社の本命は「トヨタ」
そのような観点で買ってもいいかなと思えるメーカーを挙げるとするならば、やはり本命はトヨタということになります。
トヨタのハイブリッド技術というのは当然、電気自動車などにも応用できる話でしょうし、安全性や長く頑丈に使えるという技術はここに集約されているわけです。
ガソリン車にしても丈夫で長く使えれば、コストパフォーマンスも良いということになるので、新興国でも根強い人気があります。
トヨタがこのハイブリッド技術で人気を伸ばし続ける限り、電気自動車でそのコストパフォーマンスで追いつける日はまだまだ遠いのではないかと考えられます。
対抗馬は「スズキ」
対抗となるのがスズキです。
コスト競争力を持っている会社ですが、先ほど申し上げたように、インドで非常に高いシェアを誇っています。この成長市場に4割というシェアに軸足を置いていれば、余程おかしなことにならない限り、この市場の成長に従って伸びていくことが考えられます。
そこで脅威となるのは中国の企業です。
より安い価格でインドに輸出、あるいは現地生産する事で伸ばしていくということが考えられますが、インドと中国は少し政情不安なところもありますので、そこでやはり日本の企業というのは優位に働く可能性があるということです。
因みに、海外という話に関してはトヨタも最近中国で正直上手くいってなかったのですが、徐々にシェアを伸ばしつつあるので、それも注目できるところではあります。
大穴は「日産」
大穴としては、日産を挙げさせていただきたいと思います。
当然、目先の動向は先ほど出口がないと申し上げました通り、当面きびしい状況にあることは間違いありません。しかし、ゴーン改革ではないですが、柵を断ち切っていくことができて、「リーフ」という電気自動車持っていることから、これをテスラレベルにしていくことができれば、今は株価は下がっていますが、そこからを再び大きく上げていける可能性があります。
ただし、私としてはお勧めはしません。というのも、現状の日産の決算説明資料を見ますと、ゴーンがいなくなった後の「事業構造改革計画」というのを立てているのですが、ここに出ているのは「収益を確保した着実な成長」だとか「日産らしさ」という言葉が並んでいますが、正直、のっぺりとした目標にしか見えません。改革をやるからには、もっと思い切った政策が必要になってきます。
そう考えると、今のままの日産にはまだ、決して投資できる段階ではないと考えます。
焦って投資する必要はない
自動車業界は投資先としても人気のあるところですが、ここ数年、ずっと難しい状況に置かれています。
「景気が悪くなると自動車売れなくなる」ということもありますので、いま焦って投資するような企業はなかなかないと考えます。一方で、伸びる企業が割安に放置され続けるということもあり得ますので、これはという光る原石のような物を見つけたら、 その時は投資する時だと考えます。
そういった観点で、今後の自動車業界の動きをよく眺めてみてください。
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『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』(2020年8月10日号)より
※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。