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「焼肉の和民」転換は大正解。沈む居酒屋業界から這い上がる理想の一手=馬渕磨理子

「焼肉の和民」店舗スタッフとの接触率は80%減

焼肉の根強い人気はアフターコロナでも変わらないと確信したワタミは、焼肉を主力事業にすると、大きく舵を切ったわけです。

そして、ワタミの焼肉では、アフターコロナを見据えた店舗を意識しています。非接触、換気に配慮しているのも「焼肉の和民」のポイントです。

配膳ロボットや、調理場から客のテーブルへ料理を直送する「特急レーン」を採用したことによって、店舗スタッフとの接触は、従来の居酒屋業態と比べて80%減になるとのことです。

ロボットや、特急レーンの配置によって、ホール業務の効率化と同時に、新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策を徹底することができます。

「焼肉の和民」では、ニューノーマルな時代への対応にチャレンジしています。

また、焼肉店ならではの各テーブルに設置された強制換気システムは、3分に1回の完全換気を実現しているようです。

本来、焼肉業態は居酒屋業態と比較して、厨房の人数は少なくて済む傾向があります。

また、ワタミは焼肉業態への進出を機に、オリジナルの「和民和牛」も開発しています。九州産黒毛和牛の経産牛を再肥育したもので。安価で入手でき、居酒屋事業を含めたワタミグループ全体で利用するようです。

ワタミが焼肉店に業態転換するというのは、アフターコロナ時代を見据えた飲食業界の戦略として学ぶべき点がたくさんあると思います。

ワタミのもうひとつの主力事業「ワタミの宅食」

一方で、ワタミのもうひとつの主力事業である「宅配事業」では、労働問題に関する告発がなされるという、残念な報道もあります。

(21年3月期 第1四半期決算短信より作成)

(21年3月期 第1四半期決算短信より作成)

ワタミといえば、外食のイメージが強いかもしれませんが、21年3月期 第1四半期決算短信のセグメント別の売上高の割合をみると、国内外食が51%に対して、宅食は37%を占めています。実は、ワタミの第2の主力事業が宅食なのです。

ワタミが女性社員に残業代の一部を支払っていなかったとして、高崎労働基準監督署から是正勧告を受けています。女性社員の長時間残業は、精神疾患に罹患する直前の1ヶ月前の6~7月には、過労死ラインの2倍となる月175時間に及んでいたようです。

勧告により、経営責任を明確にするとして渡辺美樹会長らの月額報酬を6カ月間50%の減額。また、宅食事業に関わる全所長を対象にしたオンライン会議を開き渡辺会長が謝罪しています。

今後、労働組合を通じてアンケートを実施し実態調査を進めるということです。

Next: 「ワタミの宅食」はコロナで急成長。瀕死の飲食業界を照らす光となるか

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