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京都移転の文化庁、政治家センセイへの説明のために年間1400回の東京出張で税金4700万円のムダ出費。議員側のリモート対応も望み薄で省庁移転の大きな“障壁”に

京都に一部機能を移転し、この15日から本格的に業務を開始させた文化庁だが、京都勤務の職員が国会対応などで上京するため、年間1,400回の出張が必要で、それに伴って4,700万円の出費を見込んでいることが、ここに来て大いに物議を醸しているようだ。

文化庁が移転の課題を調べるために昨年行った検証によれば、2週間の期間中に国会議員への説明や政党の会議への参加という機会は17回あったというが、リモートで対応できたケースは1回もなく、すべて対面で対応していたことが判明。

このことについて職員からは「議員対応の場合、オンラインなどの理解が深まっていない」「他の省庁が対面で出席する中、文化庁のみオンライン対応とすることは難しい」などといった声があがっていたとのこと。

文化庁は従来の9課のうち政策課、文化資源活用課など5課を京都に移転させており、人員も最終的には京都390人、東京200人となる計画を立てているという。

近年まで国会の各委員会でタブレットすら使用NGだった呆れる理由

中央省庁の地方移転としては明治以来初のことで、「東京一極集中の是正」や「地方創生」という意味でも意義深い出来事として注目を集めている文化庁の京都移転。

昨今はコロナをきっかけにリモートワークが民間でも大いに広まったこともあり、中央省庁の地方移転も以前よりハードルが低くなった……と思いきや、国会議員のセンセイらがあまりにアナログなばかりに、よけいな出費や手間が発生することに。

なかには、とある国会議員が文部科学大臣に対し、万葉集に関する陳情をたった20分間行うため、文化庁の担当課長と係長が京都・東京間を往復したという、どう考えても無駄でしかないようなケースもあったようである。

とかくデジタル化が遅れているとの批判が多い国会やその議員界隈。そのことを象徴する話として思い浮かぶのが、つい最近まで衆参の各委員会においては、タブレット端末やパソコンの使用さえもできなかったという。しかも、2020年に衆院委員会でのタブレット使用がようやく解禁された際も、しばらくの間は通信に関してはなぜかNGとされていたのだ。

諸外国では多くの議会でOKとされているタブレットなどの持ち込みやネットへの接続が、日本ではなぜ禁止されていたのかというと、どうやら1995~96年頃に議場において、携帯電話の着信音を鳴らす議員が相次いたことが問題となり、議場内での携帯電話の使用を禁止したことの名残で、通信機器全般の持ち込みがNGだったという。

要は、国会議員らの不行跡が原因で長らくタブレットなどのネット端末の導入が遅れる格好となっていたということなのだが、実際タブレット端末が解禁された直後には、自民党の平井卓也衆院議員が審議中にもかかわらず、自身のタブレット端末で“ワニ動画”を鑑賞していたと報じられ、世間の顰蹙を買うといった出来事も。

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国会でのネット端末の使用を認めても、議員らはどうせ暇つぶしなどろくな使い方しかしないだろうという見方は、あながち間違いではなかったことを証明したこの件。ちなみにこの平井議員だが、その直後に新たに創設されたデジタル相の初代大臣に就任しており、よほど政界にはデジタルリテラシーに長けた人材がいないのだなと、世間から嘆きの声があがったのも記憶に新しいところである。

「文化庁は東京に戻ってくるのでは?」との声も

このように、国会議員らの多くがおしなべてデジタルに疎く、オンラインでのやり取りへの対応もままならないということで、それはそれで呆れるばかりの話なのだが、それが理由で余計な予算まで発生している事態とあって、SNS上からは「壮大な無駄」「議員アナログすぎひん?」「話にならん」といった声が大いに噴出しているところ。

事態の解決にあたっては、やはり政治家側が対応していくべきだという意見が多く、議員の意識改革はもとより、IT知識のリスキリングが必要といった声もあがっているのだが、なかにはそんな議員センセイ側の歩み寄りなど微塵も期待できないといった見方からか、そもそも省庁移転など止めるべきだったとの意見もあがっているようである。

ようやく大きな一歩を踏み出した省庁移転だが、こともあろうか国会議員がその円滑な活動を阻害する存在となっているという今回の件。このままでは、SNSの一部から早くもあがり始めている「文化庁は数年、数十年後には東京に戻ってくるのでは?」といった見通しが、現実のものとなってしまうことも大いにありえそうである。

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