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返す必要のない「国の借金」=島倉原

記事提供:『三橋貴明の「新」日本経済新聞』2016年8月25日号より
※本記事のタイトル・本文見出し・太字はMONEY VOICE編集部によるものです

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「国の借金」――実は「政府の負債」と呼ぶべきものの正体

本当に「借金」の増加は国民に負担をかけるのか?

政府の経済対策が発表されて三週間が経過し、ヘリコプターマネー自体は既に旬の話題ではなくなった感もありますが、今回はもう少し話を拡げ、いわゆる「国の借金」について考えてみたいと思います。

さて、グーグルに「ヘリコプターマネー」というキーワードを入力してニュース検索してみたところ、上位2つの記事(というか評論)には、それぞれ以下のような記述がありました。

まず、「三菱UFJリサーチ&コンサルティング」という大手シンクタンクの主席研究員である小林真一郎氏が執筆した『夢の政策かばらまきか。「ヘリコプターマネー」政策、その効果とリスク』には、

『ヘリコプターマネーは、政府が借金を増やして歳出を拡大させる「ばらまき政策」とは違います。政府が国債を発行して資金を調達し、これを社会保障費、減税による還付金、各種の給付金などの支払いに使った場合、家計や企業は手元にマネーを得ることができます。しかし、同時に、国の借金の増加は将来的に増税や歳出カットというかたちで国民に負担がかかることを意味します』
http://www.huffingtonpost.jp/shinichiro-kobayashi/helicopter-money_b_11301476.html

また、民進党の衆議院議員で、財務省出身の岸本周平氏が執筆した『ヘリコプターマネーとは?』には、

『民間の貯蓄の裏付けなしに、お金をばらまけば必ずインフレになります。戦争中にGDPの2倍の「ヘリコプターマネー」を出した日本では、戦後の物価が100倍になりました(1945年~51年)。戦後も「ヘリコプターマネー」を出し、借金の残高は3倍になりましたが、物価が100倍ですから国の債務は30分の1になり、借金は国民の負担でチャラになりました』
http://blogos.com/article/187130/

と書かれています。

この2つの記述に共通するのはいずれも、いわゆる「国の借金」(三橋貴明さんがたびたび「政府の負債」と呼ぶべきと指摘しているもの)が、いずれは返済、もしくは清算して減らさなければならないもの、という前提です。

すなわち、国の借金はいずれ金額そのものを減らさなければならない、というのが「国の借金の増加は、将来的に増税や歳出カットというかたちで国民に負担がかかることを意味します」と述べている小林氏の議論の前提であり、「金額そのものが減らないのであれば、インフレという国民の負担によって実質的な残高を減らすことがいずれ不可避になる」というのが岸本氏の言わんとするところであるのは明らかです。

Next: 「借金=返すべきもの」というイメージ操作と深刻な誤解

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