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NHK受信料削減の切り札「Eテレ売却」にTV各局が反対するワケ。田中角栄と電波利権の闇=原彰宏

NHKが電波を2つ持つ必要はあるか?

ここまで電波と通信の話を展開したあとに、「Eテレ売却」の話に戻ります。

Eテレは「あえて1つの電波を独占して地上波で流す必要があるのか」というのが、高橋洋一嘉悦大学教授の主張です。確かに教育コンテンツなどは、インターネット配信には非常に馴染みますね。高橋教授の主張を聞いてみましょう。

・低視聴率の「Eテレ」では、電波という国民の共有資産が有効活用されていない
・ならば電波オークションでEテレの周波数帯を売却し、番組をネット配信すればいい
・周波数帯売却で得た資金を受信料引き下げや経営スリム化の費用に充てられる

流れを考えれば、高橋教授の主張には一理あるように思えますね。さらにわかりやすくいえば、

・NHKの地上波には1号店(総合テレビ)と2号店(Eテレ)の実店舗がある
・しかし、2号店は視聴率が低く、売れ行きが悪い
・同じ商品(番組)はネット販売もしている
・それなら、2号店はネット販売だけにして、店舗は売ってしまう
・そうすればお金も入るし、店舗の運営コストも下がる
・ネットなら多種多様な商品を売ることができるから、消費者(視聴者)の選択肢も増える

これは経営者として当然の判断でしょう。それに論理的に反対できないから、「NHKらしさ」とか、感情的な言葉で誤魔化しているとしか思えません。

Eテレの教育番組を「GIGAスクール構想」に活用

さらに高橋教授は、Eテレの教育番組という役割を、文部科学省がコロナ対策として力を入れている「GIGAスクール構想」を活用すべきだとしています。

GIGAスクール構想とは、以下を中心に据えた教育改革の一環です。

・児童生徒に1人1台の端末支給
・高速通信環境の整備
・低所得世帯への通信費支援

リモート授業やデジタル教科書を推進するものでもあります。

子供たちが1人1台端末を持って家庭でネット授業や教育コンテンツを見ることができる環境が整えられれば、教育番組をネット配信したほうが、年齢や興味に合った番組を選ぶことができます。

あえてNHKが1つの電波を専有する意義がなくなるというのです。

客観的事実として、2019年11月全国個人視聴率調査の結果では、Eテレの視聴率は最高でも2%程度に過ぎないそうです。もちろんコンテンツは、視聴率だけが存在意義の尺度ではないことは理解はできます。

現在のところ、NHKの側は、高橋教授の意見を取り入れることはないようです。したがって、電波の周波数帯売却することもありません。議論の俎上にも登っていないようです。

「GIGAスクール」に関しては改めて検証していくとして、次頁では、もう1つのキーワード「電波オークション」を見ていきましょう。

Next: 利権にメスを。「電波オークション」は納税者の利益につながる

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