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JAL、最終赤字3000億円に下方修正も「貨物便」に光明。再浮上に期待できる理由=馬渕磨理子

財務は強固な体質を維持

決算発表では、2021年3月末の手元現預金残高は約3,700億円を確保できると公表しており、自己資本比率は44.3%です。

厳しい状況にありながら、財務体質は健全に推移する見通しです。

さらに、財務の健全性をみる指標でデッド・エクイティ・レシオ(負債資本倍率)は0.5倍の見込みであることからも、厳しい状況にありながら、財務体質は健全に推移する見通しになります。

世界の自動車市場の回復は航空業界にとってもプラス

航空業界にとって、暗いニュースが多いですが、一筋の光として明るいニュースもあります。

「国際貨物便」が収益を底上げています。

背景には、世界の自動車市場の回復による完成車、自動車部品や半導体・電子機器の輸送、欧米からの医薬品や医療機器の輸入、リモートワークの定着でIT機器向けの半導体や電子部品の輸出が増えていることなどから需要が伸びていています。

貨物専用機を持たないJALは旅客機を貨物便に転用して、2月は約1,000便の運航する計画です。会見でも国際貨物便は第三四半期で想定の2倍の需要となり、100億円のプラスになったと話していました。

国際航空貨物は現在、旅客便の大幅減便による貨物スペースの供給不足が続き、運賃が上昇しています。積極的に貨物専用便を多く運航し、需要を取り込むと述べていました。

印象に残った「コスト削減」「人材を守る」の宣言

コロナの影響で、航空業界は依然厳しい状況が続いていますが、会見の中で印象に残ったものが2つあります。「コスト削減」と「人材を守る」ということです。

徹底したコスト削減を行って、削減額は当初の600億円想定から2倍の1,200億円の見込みとなっています。

会見の中で記者から社員の賃金に関する質問がありましたが、決算の担当者は少し厳しい口調で「賃金カットはしていない」と答えていました。現在40ある出向先も今後、積極的に活用したいと話していました。

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