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JAL、最終赤字3000億円に下方修正も「貨物便」に光明。再浮上に期待できる理由=馬渕磨理子

JALとANA、苦しいのは…

JALとANA、より苦境に立っているのはどちらでしょうか。

収益の落ち込みが苦しいのは両社とも共通していますが、ANAの負債が特に重くなっています。JALは一度破綻した際に財務がきれいになったため、負債が軽くなっています。

ANAは近年、事業拡大のために積極的に投資を行ってきていました。それに加えて、19年度の従業員数は、JALが3.5万人、ANAが4.6万人とANAの方が従業員数が多い点も人件費の面でも苦しいです。

今回の危機的状況では、ANAの財務体力が弱っています。両社は自力で資金調達をし、「雇用を守る」として大規模なリストラも行っていません。

ここからは、当面の借り入れによって有利子負債が増えており、その返済に追われることになります。

そこで、両社はバランスシートの負債ではなく、純資産を増やす「公募増資」を昨年11月に行っています。その規模はJALは約1,800億円、ANAが約3,000億円です。

厳しい状況に変わりはありませんが、空のインフラを守る上でも2社の共存共栄を望むばかりです。

環境への取り組みも。古着25万枚を使った燃料でフライト

最後に、苦しい状況にも関わらず環境に配慮した取り組みに言及します。

2月4日、JALは羽田発福岡行きの便に古着約25万枚から作った400リットルのバイオジェット燃料を初めて使いました。古着の原料である綿を微生物と混ぜ、アルコールに変換して作られるとのこと。JALは国産のバイオジェット燃料について、2025年ごろの実用化を目指しています。

ANAは昨年11月6日に、廃食油や動植物油脂を原料とする「SAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料)」を使った定期便の運航を始めています。

苦しい中でも各社、環境への配慮を考えた努力も続けているのです。

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image by:馬渕磨理子
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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2021年2月11日)
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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