モバイル事業で楽天は最強になれるか
楽天は、あらゆるコンテンツ事業を持ち、網羅的にIPを中心とした戦略を構築できている数少ない企業です。ここに「モバイル事業」が加わることで、より一層、楽天の強みを強化することができます。
コロナ禍でコンテンツ事業は国内外ともに成長を見せており、RakutenTV、Rakutenブックスなどはユーザー数が増加しています。モバイル事業は、これらのコンテンツと親和性が高く、シナジー効果が見込まれます。
かんたんに言えば、ユーザーは、楽天モバイルを使い、「楽天市場」で買い物をし、「楽天トラベル」で旅行の予約をし、支払いは「楽天カード」で決算し、貯まったポイントは「楽天証券」で株式投資。余暇は「RakutenTV」、「Rakutenブックス」で楽しみ、「Rakutenチケット」でエンターテインメントのチケットを購入。携帯の中のコンテンツもすべて楽天が手掛けているものといった世界観です。
楽天モバイルのユーザーに、これらのコンテンツのサービスを割引で受けられたり、ポイント還元されたりすることで、ユーザーは多くのメリットを受けることが可能です。
携帯各社の「料金戦争」は次のステージへ
携帯料金の値下げ競争で大手が格安の料金プランを打ち出し、各社の新プランは出そろったと言えるでしょう。
口火を切った、NTTドコモは20年12月3日に月間データ容量20GBを月額2,980円で提供する新料金プラン「ahamo(アハモ)」を発表。ソフトバンクは20年12月22日にドコモと同じく、20GBを月額2,980円で提供する新料金プラン、「SoftBank on LINE」を発表しています。KDDIは1月13日に新プラン「povo(ポボ)」は20GBで月額2,480円という料金を提示。ただし、「1回5分以内の通話は無料」をオプション(月額500円)で追加できるというものになっています。
楽天は、もともと、「容量無制限で月額2,980円」の単一料金プランを前面に打ち出していました。これに加えて、1月29日に発表した新プラン「Rakuten UN-LIMIT VI」は、利用データ量に応じて料金を4段階に分けています。1GB以下は無料、1~3GBは980円、3~20GBは1,980円、20GBを超えると2,980円という体系です。
各社がしのぎを削って料金を下げたことにより、家計への負担を軽減させる功績は讃えられるものでしょう。料金面がほぼ足並みが揃ったことで、ここから先は、サービスの充実や使いやすさなどユーザーをどれだけ獲得できるかの戦いになります。
携帯各社の競争は間違いなく、「料金」ではなく、ユーザーに「お得感」「使いやすさ」など体験価値のあるものの競争になります。
次のステージで、前述したように、豊富なコンテンツを持つ楽天はユーザーに提供できるものが他社に比べて魅力的なものが多いと言えるでしょう。