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バイデン初のシリア空爆は米イラン戦争の序章。大規模軍事衝突と相場激動の4年間が始まった=江守哲

米国はイランを放置できない

このような事態に対し、米国側も当然のように懸念を表明している。米国務省のプライス報道官は、イランによる国際原子力機関(IAEA)の「追加議定書」履行停止について「懸念している」と表明している。

また、イランのハメネイ師がウラン濃縮度を60%に高められると主張したことに関しては「脅しのように聞こえる」としている。

ただし、「仮定のことに特定の言葉で反応するつもりはない」とし、静観する姿勢を示している。

しかし、実際に米国がこの状況を放置していることはありえない。裏で相当の情報収集を行い、対策を練っているはずである。それも、イランに対してかなり厳しい結果をもたらすような対策である。それだけは間違いない。

バイデン政権のほうが、トランプ政権よりも数倍も数十倍も、いや何百倍も厳しい外交を行うだろう。

それだけ、オバマ政権から続く民主党の外交の厳しさは、実は想像以上のものがあるといえる。オバマ政権下でウサマ・ビン・ラディンを殺害したことを考えると、イラン政府など大したことはないと考えているに違いない。

中東情勢の不安定化は不可避

イランはどこまで米国新政権の実際の凶暴さ理解しているのだろうか。おそらく、正しく理解していないのではないかと考えられる。

そうであれば、中東情勢の不安定化は不可避である。もっとも、イランは原油輸出による収入がすべてである。最近の原油価格の上昇で、多少強気になっている可能性がある。

そうなると、米政権が原油相場を売り崩して、イランをやり込めることを選択する可能性もゼロではない。バイデン政権は「クリーン・エネルギー」構想を掲げている。原油などの旧来型の化石燃料は使用しない方向で進めようとしている。

したがって、米国内のシェールオイル企業にも気を遣わず、平気で原油価格を押し下げることも想定される。

バイデン政権が実際に原油相場を操作するかどうかはわからない。しかし、そのような選択肢も持ち合わせている点には要注意である。無論、そのようなことは、市場にも誰にもわからないように行うだろう。

Next: 米国は原油相場に揺さぶりをかける? 軍事的な動きに要警戒

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