「お金のしくみ」をどこまで教えられるのか
そもそもお金のしくみとは、お金の稼ぎ方であり使い方であり、税金や社会保険料の仕組みを知ることにあります。
そのなかに、金融商品を学ぶカリキュラムがあり、リスクを取ることの本質を理解する項目があって、その上で投資という手法があることを理解スべきだと思います。
お金のしくみを知る…。それは「お金の稼ぎ方」を知ることでもあります。さらに労働の対価となる報酬、その社会的意義を理解することも大事です。
労働収入を得る方法として正規雇用や非正規雇用があることも教えて欲しいですし、労働収入とは別にビジネス収入があることも、きちんと教えて欲しいものです。そこまでは無理でしょうか…。
できれば「副業とは何か」を教えることも、これからは必要かと思うのですがね。
そして「お金の使い方」があります。クレジットカードの仕組みや、リボ払いのメリット・デメリットをきちんと把握することが求められます。お金を借りるとはどういうことかを、しっかり学んで理解することが必要です。
本来なら、35年もの長期間お金を借りる「住宅ローン」は、商品先物以上にリスクがあるものだということを教えて欲しいのですが、国策が絡むので無理でしょう。
自動車ローンは利率から考えると非効率であるなんてことも言えないでしょうね。自動車は「コスト」であって「資産」ではないですからね。
それは住宅も同じで、この「コスト」と「資産」の概念を知ることのほうが重要なのですが、金融庁主導のカリキュラムなので、それは望めないでしょうね。
マネー教育と金銭教育は別モノ
老後資金に2,000万円必要とか、本当は3,000万円でも足りないとか、様々なことが言われますが、その資金を準備するのには、貯蓄では間に合わないから運用しようという風潮が形成されてきています。
そのために、高校の授業に「マネー教育」が導入されるとしたらどうでしょう。運用手法を理解するための「家庭科での資産形成」授業があるのでしょうか…。
確かに、何も知らないまま資産運用の世界に飛び込むということは、無防備で戦場に放り出されるようなものではあります。
まずは運用をするために備えなければならない基礎体力を高校生のうちから養っておこうという主旨は、一見正しいように思えるのですが、ちょっと違和感を感じてしまいます。
マネー教育と金銭教育は「違う」と考えます。
屁理屈のような論理で、勝手なイメージですが、「マネー教育」とカタカナを使った場合、どうしても資産運用の指南をすることを考えてしまいます。「金銭教育」となると、お金の使い方を学ぶというイメージで、クレジットカードの利用方法とか、借金の仕方を教わる感覚があります。筆者のまったくの勝手なイメージです。
余談ですが、銀行や郵便局で投資信託を販売するときは「あなたの大切な資産を守る、資産の運用」という表現を用いますが、(これも勝手なイメージですが)大切な資産を守ってくれると言うので、「絶対に元本が割れることはない」と思ってしまいそうです。銀行や郵便局という預金貯金の金融機関というイメージも、しっかりと乗っかりますね。
「資産運用」のほうが「投資」よりも軽く感じることはないですかね…。