大阪府は「夢州(ゆめしま)」に鉄道を敷きたい
それでは、いったい大阪府は、何のために潤沢な「大阪市のお金」を使うのか?
それは「夢洲」と呼ばれる埋立地に誘致予定のカジノと、建設予定の大阪万博に使うためだと、あるジャーナリストは主張しています。
大阪副首都推進局作成の「府市一体化・広域一元化に向けた条例について」(2021.01.22第22回副首都推進本部会議資料2)の11頁に、この条例の本質が書かれています。PDFファイルナンバーでは14番目、資料付記頁は11頁目です。11頁に書かれている事業は、大阪府への一元化を図るように書かれています。
カジノや大阪万博で重要なのは、離れ島となっている「夢洲」へのアクセスです。それが整備されないと、カジノも万博も、人を呼ぶことができません。
つまり、「夢洲」への鉄道を敷くことが大事になってきます。
大阪カジノに手を上げていた米国MGMは、当初は1兆円の融資も行うような話もしていましたが、コロナ禍で状況は一変し、融資どころか、「夢洲」に鉄道を敷く200億円も出せないのではないかとも言われはじめました。
大阪万博だけで、200億円ものお金をかけて鉄道を敷くのは採算が合いません。
万博は一過性のものですから、カジノとセットで「夢洲」開発は成り立っているのです。
大阪としては万博を成功させなければならないですし、そのためにはカジノとセットが重要で、そのためになんとか200億円をかけて鉄道を敷く必要があります。
カジノ誘致は、米MGMとオリックスが連合で運営する事になっているのですが、果たして米MGMが200億円を捻出できるのかが心配になってきました。
そもそも、米MGMは大阪カジノ運営に乗り出してくるのでしょうか。
本家ラスベガスでは、オンラインカジノにシフトする動きとなっていて、オンラインのほうが儲かるという話もあります。
万博建設も、東京五輪と同じで、当初予算から大きく膨れ上がることになりそうです。
大阪市が残ればそれでいいのか? 都合よく解釈され、無視される民意
だから、万博やカジノ推進側は、大阪府が大阪市の財政を、これら公共事業に使えるようにしたいのでしょう。
また大阪都構想反対側は、このことを何度も主張していて、それで住民投票で大阪市と大阪府を1つにすることを問うた結果、住民は1つにすることを拒んだと理解していたんですがね。
確かに大阪府市一元化条例では、大阪市はそのまま残りはしますが、大阪市がなくならないから良いという話ではないように思えるのですがね。
住民を二分する議案を住民投票にかけるのは酷な話で、しかも僅差での否決は本当に後味が悪く、遺恨を残すものです。
そもそもこの時代に、大型箱物テーマパークなり、人を集めるビジネスモデルは成り立つのでしょうかね。