中国は巨大IT企業から個人情報を守ってくれるのか
ヤフーは2019年7月に、ゴマ信用を参考にしたYahoo!スコアという信用スコアをスタートさせたが、1年足らずでサービスを終了している。個人情報を企業に提供する際に利用者の同意を得る仕組みの説明が十分でなかったことへの批判が相次いだためだ。
中国の先進IT企業の情報関連サービスを参考にする、あえていえば模倣したとしても、それ自体は悪いことではない。問題なのは、EUを中心に国際社会のスタンダードになりつつある巨大IT企業から個人情報を守るという考え方を、中国政府が共有できていないことだ。
それを是認することが、「LINEの毒」が回っているということの意味だ。
中国のIT企業は中国政府の完全な管理下のもとにおかれ、企業が集めた個人情報はすべて政府に吸い上げられる。巨大な利益を上げる先進IT企業として国家権力に庇護されたアリババは、その国家権力=中国政府という虎の尾を踏んだために、巨額の罰金を科せられた。
日本企業は中国のこの現実を十分理解したうえで、個人情報保護の認識を高めて事業を行っていかなければならない。企業は公器であり、ただ金を儲けさえすればいいというものではない。
QRコード決済は携帯キャリア系の4つに集約される
こうした状況を頭に入れたうえで、QRコード決済サービスのあり方はどうあるべきかを考えたい。
かつて石油元売り会社が民族系と外資系の2つに分類されたように、ドコモのd払い+メルカリの「メルペイ連合」と、KDDIの「auペイ」を民族系と分類できる。また、中韓との関係が深い「ペイペイ+LINEペイ」と、テンセントの資本を受け入れた楽天の「楽天ペイ」を外資系と分けて対応するのがいいのではないか。
ユーザー目線に立てば、外国の資本が入っているものより「国産」の会社がいいと思えば、d払いかauペイになる。また、外国資本の有無や外国企業との関係の濃淡にはこだわらないということなら、ペイペイも選択肢の1つになる。
もし前述したような「LINEの毒」がヤフー、ソフトバンクに回っていれば、ペイペイがユーザーの支持を得るのは難しくなるだろう。
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