<その2. 真っ当な商品を買っているのに、難民になってしまうパターン>
次に、2つめの「真っ当な商品を買っているのに投資難民になってしまう」についてですが、こちらが本特集のメインテーマになります。
そもそも、どうして正当な商品を購入しているのに、投資難民になってしまうのでしょうか?
通常、金融商品を不特定多数の投資家に販売する際は、金融庁に取り扱いを届け出る必要があります。この販売方式を公募と言います(一方、50人未満の投資家などに対し行われる小規模な金融商品は、届出義務などが免除されています。この方式を私募と言います)。
金融商品取引法では、金融商品取引業を行う者に対して登録することを義務付けています。登録をせずに金融商品を取り扱っている者は、当然ながら無許可の商品を販売している、ということになります。
なお、外国の金融業者が、日本国内で日本の居住者に対して金融商品を販売する際は、営業所等の登録が必要です。
※参考:金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針 – 金融庁
もし、投資家が金融庁に登録している外国の金融業者から金融商品を購入していたなら、投資難民になることはありません。よって、海外投資難民とは、「金融庁から許可を得ていない業者から海外金融商品を買った人のこと」ということになります。
海外投資難民が増える背景とは?
ところで、織田さんによると「金融庁から許可を得ていない業者から海外金融商品を買った人のすべてが、難民になっているわけではない」と言います。
「たとえば自分で英語を話せて、最悪、自ら現地に足を運んで交渉したり、代わりのサポート業者を探したり、といったことができる人は、難民にはなりません。そうした行動を取ることが難しい人が、難民化しているのです」(織田さん談)
普段、シンガポールを中心に活動している織田さんは、これまで海外投資難民になってしまった人たちから、幾度となく相談を受けてきました。
織田さんによると、海外投資難民化してしまう人とは、「実は最初から海外の金融商品に興味があった人たちではない場合が多い」のだそうです。
「たまたま、知人から海外金融商品を取り扱っている人を紹介されたから」「海外金融商品の話を聞いて、儲かりそうだと思ったから」などといった理由で、安易に海外投資を始めてしまった人が、後々、難民になってしまうケースが多いのだとか。
でも、海外投資難民の方々は、詐欺師から商品を購入したわけでもなく、商品だって正規の金融商品を購入しています。
それなのに難民化してしまうのは、なぜなのでしょうか。