FIREの主張には2つの盲点がある
「FIREを実現したければ、注意すべき点が2つある」と織田さんは言います。
<盲点その1:リタイアすると支出は増える>
盲点の1つ目は、先程の「リタイアすると、支出はむしろ上がる傾向にある」という点。要は、たいていの場合、計画通りにはいかないということです。
それまで、定期収入が入ってくることを前提に生活していた人が、収入がなくなったからといって、いきなり質素倹約はできません。
たとえFIREのために節約していた人であっても、“時間”という空白ができることによって、それを埋めようと消費を始めてしまいがちです。
十分と言えるほどの資金がないままにリタイアして、働かずに、お金だけがどんどん出ていく状態に、いったいどれだけの人が耐えられるでしょうか。
<盲点その2:想定通りの利回りを維持できない>
盲点の2つ目は、「1億円を年利4%で回せば、利息だけで年間400万円になるから、生活していける」という理屈です。
この主張には落とし穴があって、以下の2点です。
・資産1億円全額を投資に回さなければいけない
・毎年、確実にそれだけの利回りが出るとは限らない
仮に、日本で資産運用をした場合、投資で得た利益には税金がかかりますから、その分、資金が減ることを考慮しなくてはなりません。
また、投資とはリスクを伴います。4%以上に増える年もあれば、元金を取り崩さなければならない年もあります。
これらのことを考えると、
・年利4%では十分とは言えない
・資産の全額を投資に充てることはできない
ということになります。
織田さんに解説していただきましょう。
「税金を考慮すると、年利5%はあったほうがいいとは思います。金利の低い今の日本で、年利4~5%で回していくとなれば、レベル的にはミドルリスクに相当します。銘柄を選べば、日本でもこの利回りは不可能ではないでしょう。
一方、資産を海外で運用した場合、年利4%であれば、ローリスクとされる保険商品の中にも、探せばそれくらいのリターンを得られるものがあります。
ただし、海外で運用する際には、どこに運用を委託するのか?といった問題や、為替リスクなどもあるので、商品選択は慎重に行うことが大切です」。