中国に迫る2つの危機「恒大集団デフォルト」と「電力不足」が韓国経済にトドメを刺す可能性が出てきた。韓国への影響について解説する。(『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』)
※本記事は有料メルマガ『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』2021年10月3日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
中国「恒大ショック」の本番はこれから
中国「恒大集団」について、私は7月の下旬あたりから注目してきた。きっかけは33兆円の多額負債を抱えた中国恒大の銀行口座が差し押さえされるというニュースからである。そして、その日に香港市場で何が起きたのか。株価は2日間で20%超下落。社債の一部は最安値を更新した。
ただ、このときは世間の空気は、中国の不動産業第2位の企業が危険な状態にあれば、中国政府が助けるだろう…といった様子だった。
しかし、状況が一変したのは、それからおよそ1月半後である。
9月8日、ロイター通信によると、世界大手格付け会社の「フィッチ」が 「中国恒大集団と子会社2社」の外貨建て長期発行体デフォルト格付けをさらに引き下げて「CC」とした。さらにムーディーズも格下げを発表。格付け会社の大手が一斉に中国恒大の評価を引き下げたのだ。
これが意味することは簡単だ。 かなり危険な領域である。デフォルトする可能性が高いということだ。
日本人はあまり格付け会社を信用しないのは、日本よりも韓国の方が格付けが上になっているという理由もあるだろう。しかし、世界的に見れば、格付けは投資を行うときに大いに参考にされる。そして、格付けが下がれば、投げ売りの要因となる。
ここで取り沙汰されるようになったのは「利払い」である。フィッチは9月だけで1億2,900万ドル、年内に8億5,000万ドルの利払いが必要になると試算している。
そして、すでに結果はご存じだと思うが、その利息がドル建ての部分が払われていない。つまり、デフォルトしたわけだが、一応、債務不履行には1ヶ月の猶予がある。
だが、この状況で利息を払えるとは到底思えない。
ブルームバーグによると、中国恒大が破綻すれば、貸し手である金融機関、サプライヤー、小規模企業、何百万もの住宅購入者の間で混乱が生じる恐れがある。
そして、最近、わかったことだが、これもサブプライムローンなのだ。3,000億ドルの負債の内、2,000億ドルは中国国民からの住宅購入の前払い金らしい。また、驚くかも知れないが、33兆円が負債の総額ではない。もう17兆円ほど潜在的な簿外債務が追加されることになる。つまり、この時点で50兆円なのだ。
そして、中国恒大の株価が投げ売りされると、それに連動して他の中国の不動産株が売られる。
これによって不動産バブルの崩壊があるかもしれない。何しろ、中国のGDPの3割、4割ぐらいは不動産の価値だからである。不動産バブルで価格が70倍ぐらいになったことが、中国のGDPを押し上げた。
このようにデフォルト危機が10月に迫っており、それで何が起こるかは誰にもわからない。リーマン・ショックのようなことは起きないと予想するアナリストもいる。
どちらにせよ。50兆円もの負債は返せる金額ではないだろう。
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