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PayPay“手数料禍”に中小店の2割が解約、ペイ戦争は「楽天の乱」で2強時代へ。高田馬場で見た加盟店の本音=岩田昭男

有料化の時代がやってきた

しかし、その手数料無料の期限も今年9月いっぱいで切れた。

一時は延長する意見もあったというが、8月にはPayPayは予定通り有料にすると発表した。新しい手数料は1.6%と1.98%の2つを用意した。

クレジットカードなど一般の手数料の相場が3.25%だから1.6%というのは非常に安いといえる。ここまで下げたのも加盟店に受け入れてもらうためだった。

しかし、1.6%といってもキャンペーンに参加することが条件になっており、これにさらに月額1,500円かかるので、一般の店にするとかなりきついだろう。

前述の理髪店はキャンペーン参加を断り1.98%で行くと言っていたから、多くの店もそれに習うのではないか。そう考えると有料化の前途もなかなか厳しそうである。

それでもPayPayは、「各社の手数料が出揃って新しいスタートが切れれば問題はなくなる」と楽観的にみていた。

楽天ペイが「手数料無料」で攻勢をかける

ところが、そこに伏兵が現れた、QRコード決済で2番手の「楽天ペイ」が、PayPayの前に立ち塞がったのだ。

サービス開始以来手数料を取り続けてきた楽天ペイが、あろうことか10月1日から新規顧客に対して1年間手数料無料のサービスを始めると言い出したのだ。

これは事件であった。PayPayにとってだけでなく「au PAY」「d払い」にとっても驚きの発表であり、大きな負荷となった。

これにはPayPayも困っただろう。手数料ビジネスの軟着陸(QRコード決済事業者が加盟店手数料を一斉に徴収して同じ条件で競争を始めること)の希望が消える危険性が出てきたからだ。

しかし、もうPayPayが「無料」に戻ることはできなかった。手数料無料に舵を切ることは可能だろうが、720億円という赤字が残るわけで「有料化」を回避することはできなかった。

だからといって、ただ放っておけばPayPay離れが進むだけだから、あとは3%のキャッシュバックキャンペーンを打って何とか「PayPay離脱」を食い止めるしかなかった。

PayPayだけ不利な有料に

これを見たau PAY(au)とd払い(ドコモ)はパニックに陥った。

これまで共にPayPayを手本にサービスを進めてきたが、「有料化にこだわるのは危ない」と直感したために方針を転換。1年間の「無料」継続を発表して楽天に続いた。下手に有料化を強行すれば傘下の加盟店の離反が相次ぎ、PayPayの二の舞になることを恐れたのだ。

これでキャリア系4社(PayPay、楽天ペイ、au PAY、d払い)のうち、3社が「1年間無料」となり、PayPayだけ不利な有料となったのだった。

Next: 10月以降の勢力図はどうなる?先が見えない手数料問題

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