加盟店の20%がPayPay有料化で「解約」を希望
10月を前にした1カ月間、PayPayを中心としたQRコード決済事業4社は、楽天ペイの「1年間手数料無料」宣言をめぐって激しい駆け引きを繰り広げたが、決着を見ることはなかった。
結局「有料組」と「無料組」に分かれてしまい、膠着状態は続いた。
10月以降、この業界はどのような動きを見せていくのであろうか。その未来を考えるために、PayPay導入店に関する「2021年中小個人店経営者からみるQRコード決済調査」という調査報告書が出たので、それを参考に考えてみたい。
調査報告書は、9月末にMMD研究所から出た。PayPay導入店主やそれを積極的に支える500名を中心にアンケート調査をしている。調査は2021年9月17日から9月21日に行われた。いくつかの質問に答えて理由を述べるものだった。
最初の質問は、「有料化になったらPayPayを解約したいですか」という問い。有料化によるPayPay離反率を探ろうとする質問だったが、これに対して21.8%のオーナーがYESと答えた。約2割が有料期間が終わればすぐにでも解約すると答えている。
これを多いとみるか少ないと見るかは微妙である。コロナ禍だったことを考えるともう少し多いと見ていたから、個人的にはちょっと少ない気がした。
辞めたい理由については、1位「PayPayにより手数料がまかなえるほど利益が生まれていないから」(57.8%)という答えが半数以上あり最多。2位は「導入後売り上げが上がっていないから」(23.9%)、3位は「導入したもののあまり使われていないから」(19.3%)と続いた。
※参考:2021年中小個人店経営者からみるQRコード決済調査 – MMD研究所
たくさんコマーシャルを流している割には意外に店舗側が儲からないということがわかった。少額決済が多くなりがちだから、売上額はかなり抑えられるので、儲からないという印象になるのだろう。
10月以降、解約は増える?中小店舗の状況はさまざま
この反応からすると、これから離脱者が増えていく可能性はある。飲食店はほとんどが中小店舗で軒並みコロナの影響を受けて売り上げが激減したので影響は大きかった。
高田馬場駅前の店舗の中には休業の張り紙を出したと思ったらすぐに別の飲食店が居抜きで借り上げるということが多かった。駅前では家賃が高いので維持費がかさみ、すぐに手放さなくてはならない。そうなるともうキャッシュレスやPayPayどころではなくなるのだ。今年の夏はそうした店が数多くあった。
だから、有料化を機会に廃業すると同時にPayPayも辞めるという店も多く出るのではないか。
一方であらゆる中小飲食店が不利だったわけではない。板橋区で居酒屋を出していた友人は、持ち家だったため、地代も家賃もかからなかった。おかげで緊急事態宣言で休業を余儀なくされたが、休業補償が出て1日あたり6万円もらえたので、大儲けしたといっていた。6万円なら緊急事態宣言は1年以上続いたとしてかなりの収入になる。
中小飲食店がすべて不利だったわけでは無いのである。一括りにできないということだ。