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昔は月額100円だった国民年金保険料、なぜ1万6,610円に?3人に1人が「全額免除」、制度導入の歴史から見えた加入メリット=年金アドバイザーhiroki

国民年金が始まる時に揉めた国民年金保険料「積立金」の使い道

さて、もう自分で国民年金保険料を支払って老後のために備えておかなければならなくなりましたが、保険料を長い間支払うということに抵抗が強い時代でもありました。

国民年金は所得が低い人が多く、そこから保険料を支払ってもらうわけで、この保険料がいったい何に使われるのかという不安が強かったからです。

昔の人は戦争ですべての貯えを無くしてしまったので、長い期間保険料を積み立てるというのに抵抗があったわけです。

積み立てた保険料は当時は大蔵省が握っており、財政投融資として主に国家資金としてインフラの整備に利用されていました。年金積立金が積極的に投資に回っていたので、経済の発展を促進したという面があります。

ただ、道路公団みたいな特殊法人(公団とか公庫みたいな法人)に自動的にお金が流れていたので、国民のお金だから損してはいけないという意識が薄れていきました。

国民のお金を湯水のごとく使われたらたまったもんじゃないですよね。だから、この財政投融資の仕組みは小泉内閣の時に廃止されました。今は特殊法人がお金を調達する時は、財投機関債というのを発行しなければならないです。

昭和36年当時、貴重な保険料を何に使うかをハッキリさせないまま支払い続けるのはイヤだ!という声が当時の社会党を中心に批判が噴出したため、積み立てた保険料はどこに使うかを明確にする必要がありました。

国家資金として大蔵省に預託されて、その使い道もよくわからないのでは、加入者の納得が得られるわけがありませんでした。また再軍備に使われるのではないかという不安もあったようです。

よって、積立金は被保険者の利益に還元されるように配慮すべきであることが決まりました。

国民の納得が得られないままだと、保険料を支払うタイプの国民年金が円滑に実施できないような状況になったからです。

国民年金の積立金が財政投融資として活用される時は、国民生活が向上するようなインフラの整備とか、病院や福祉や文化施設、農業や中小企業の分野に重点を置くことが明確化されました。

メリットの多い国民年金は入ったほうがやっぱりお得

このように国民年金の歴史はまだ短いものの、何かと紆余曲折がありました。

現在の保険料は確かに昔よりも高額で、世代間の不公平が話題になったりもします。昔の人は少ない保険料で高い年金がもらえるのに、今の若い人は高額の保険料を支払ってもそんなに高い年金がもらえないという不公平論ですね。

確かに差があることは事実ですが、国民年金が始まった昭和の時代がどうであったかという面や、時代が徐々に子どもが親を扶養する形から、核家族の影響で国が高齢者の面倒を見なければならなくなったことを考えなければいけません。

また、賃金の伸びが著しかったので、あまり老後の年金と賃金の差を広げてしまうと、老後の保障にならないから年金額を引き上げる必要があったという面もあります。

絶対に昔も今も平等でなければならないとしたら、給付や保険料も昔と同じにするとすれば、とてもみじめな年金制度になっていたでしょう。

ちなみに老齢だけでなく、死亡した時の遺族年金や障害を負った時の障害年金などの若い人にも給付されることや、終身で国が面倒見てくれること、経済の変動に対応すること等を考えると、公的年金独自のメリットはとても多く、国民年金保険料を支払うメリットはとても高いと言えます。
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  • 第214号.上がり続けた国民年金保険料と、国民年金実施からの苦難の歴史や世代間の不公平について。(11/3)
  • (号外)病状がとても悪いから障害年金を請求したのに、年金支給決定前に死亡すると請求は無意味になるのか。(11/1)

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  • 第213号.65歳未満の厚生年金はなぜ特別なのかという事と、失業手当を貰う場合の年金計算。(10/27)
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  • 第211号.どの時点で仕事を辞めるかで大きく変化する夫婦の年金総額と加給年金。(10/13)
  • 第210号.厚生年金期間が割り増しされる職業の年金と、厚生年金を貰うために存在した救済措置。(10/6)

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  • 第208号.なぜ年金を全額税金で支給したり、積立金でやるのはデメリットが大きすぎるのか。(9/22)
  • 第207号. 男性の受給する遺族年金計算と、依然として女性に不利な社会が続く原因。(9/15)
  • 第206号.国民にはよくわからないまま昭和末期から徐々に年金額を引き下げ続けていった過程(9/8)
  • 第205号.本来の初診日を適用すると障害年金請求できる余地が無かったが、元気に生活出来ていた期間があると…(9/1)

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  • 第203号.70歳以上在職者から見る過去の厚生年金加入記録と、65歳過ぎて初めて年金をもらえるようになった時。(8/18)
  • 第202号.女子の年金が一般的な支給開始年齢より早めに支給されてきた名残と、その特徴的な年金計算。(8/11)
  • 第201号.65歳以上の在職者の年金停止(基金あり)と、そもそも年金が停止される時はこういう条件を満たす必要がある。(8/4)

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  • 第200号.大切な生活保障である配偶者加給年金と振替加算の支給時期と停止時期の7パターン。(7/28)
  • 第199号.共済と厚年記録がある人の遺族厚生年金と、障害厚生年金受給者の死亡が重なる時。(7/21)
  • (号外)戦後日本経済の発展と高度経済成長の土台となった国民皆年金。(7/18)
  • 第198号.通常の考え方とは違う20歳前障害基礎年金の取扱いと、年金計算総合事例。(7/14)
  • 第197号.年金制度が無ければまともに生活出来る人はほぼ居なくなり、更なる高齢化による介護と医療の問題。(7/7)

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  • 第196号.カラ期間の存在理由と、昭和61年4月以降に年金水準を引き下げる過程の年金額への影響。(6/30)
  • 第195号.記録を見ると遺族厚年をもらえそうもないけど、過去の病気が決め手となって受給する場合。(6/23)
  • 第194号.高齢の人ほど年金記録が漏れている可能性は高く、年金が訂正された場合の遡り給付は高額となりやすい。(6/16)
  • 第193号.なぜ共済年金は終わらせる方向に向かなければならなかったのか。(6/9)
  • 第192号.年金振込日にたまに起こる恐ろしい事案と、2つの病気を合わせて障害年金を請求する事例。(6/2)

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  • 第191号.国民年金だけに与えられた独自の寡婦年金と死亡一時金の考え方と大切な計算比較。(5/26)
  • 第190号.交通事故で被害者やその家族に発生する損害賠償と年金の変則的支払い。(5/19)
  • (訂正分)第189号.労災が起こった場合の遺族給付と日本年金機構からの遺族厚生年金との併給。(5/13)
  • 第189号.労災が起こった場合の遺族給付と日本年金機構からの遺族厚生年金との併給。(5/12)
  • 第188号.遺族年金を貰いながら頑張って働いても、年金の増え方が圧縮されてしまう事例。(5/5)

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  • 第187号.高齢化と共に急増する行方不明事案!行方不明者の年金を止め、死亡とみなして遺族年金を請求する。(4/28)
  • 第186号.自己都合退職と会社都合退職時の失業手当と年金のもらい方の計算と、年金が停止される事によるメリット。(4/21)
  • 第185号.60歳以降に貰う給与がコロコロ変化すると給付金も変化するのに、年金の停止は変わらない理由。(4/14)
  • 第184号.初めて厚年に加入する人の在職老齢年金と、年金財政を救うための高齢者と女子の雇用促進。(4/7)

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2021年3月配信分
  • 第183号.もらえて助かるはずのものなのに、ウッカリするとトラブルになる事も多い加給年金の事例。(3/31)
  • 第182号.昭和以前の価値観と平成以後の価値観の違いで、年金額に顕著な差がみられる女子の年金。(3/24)
  • 第181号.障害者特例などで増やした年金を本来の支給より早めに貰うと、やや有利な計算になる。(3/17)
  • 第180号. 国に全て頼るのは嫌という国民性により誕生した国民年金と、生きている間に生じる様々な年金給付。(3/10)
  • (号外) 約60年前の国民年金創設時はなぜ200万人もの人に全額税金で年金を支払い続ける必要があったのか。(3/7)
  • 第179号.毎年度の国民年金保険料の計算過程と、まとめて保険料支払う前納時の考え方(重要)(3/3)

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  • 第178号.本当なら令和3年度年金額は下がらないはずだったのになぜ0.1%下げたのか(その他重要事項)(2/24)
  • 第177号.毎年度年金額の変化に使ってる賃金変動率や物価変動率って何なのか。(2/17)
  • (号外)2月10日に発行しました176号の65歳時の年金総額について。(2/11)
  • 第176号.年金額の手取りに強く影響する社会保険料の年金天引きは、突然不可解な変化をするのはなぜなのか。(2/10)
  • 第175号.2月支払いはコロコロと年金額が変わりやすい理由と、正式な年金計算や端数処理の関係をマスターしよう。(2/3)

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  • 第174号.共済期間と厚年期間がある人の障害厚生年金計算時と老齢厚生年金計算時はこんなに違う。(1/27)
  • 第173号.法改正されて消滅したはずの法律がいつまでも付き纏う理由と、その影響が残る年金計算。(1/20)
  • 第172号.年金は一種類しかもらってはダメなのに、なぜ遺族厚生年金や障害基礎年金は例外があるのか。(1/13)
  • 第171号.ほとんど保険料納めてなかったのに年金もらえる人が多かった事情と、年金でいう保険料納付済期間の勘違い。(1/6)

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  • 第170号.バブルの始まりから崩壊までの原因と、年金制度が同時に直面し続けた少子高齢化と平成不況。(12/30)
  • 第169号.障害年金と児童扶養手当併給事例と健康保険からの傷病手当金との調整(12/23)
  • 第168号.年金の繰上げからの障害年金請求と、老齢と障害の年金が被ってしまった場合にやる内払い調整。(12/16)
  • 第167号.収入が多くて遺族年金がもらえない場合の対処と合わせて知っておくべき給付事例。(12/9)
  • 第166号.法改正で65歳以上の在職者の年金額を毎年再計算する事によって得する人と損する人。(12/2)

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  • 第165号.死亡者の遺族年金はその時の家族が貰うはずだったのに、顔も知らない人が貰う事になった理由。(11/25)
  • 第164号.在職中に病院行ってたおかげで受給できた遺族厚生年金と、その後にうっかり貰いすぎてしまった年金の返済。(11/18)
  • 第163号.離婚した時は女子は年金額が不利になる事が多い歴史的な理由と、離婚時年金分割で年金を増やす。(11/11)
  • 第162号.離婚時の年金分割は、合意分割と3号分割の二つだけ!必ず覚えておきましょう。(11/4)

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  • 第161号.なんでわざわざ年金の形は2階建ての形にして支給するようになったのか。(10/28)
  • 第160号.支給開始年齢や厚生年金加入できる期間を引き延ばしてきた歴史と、それに伴う必読重要事例!(10/21)
  • 第159号.いつもと違う障害年金額を受給している人の年金事例と、65歳からの年金からの社会保険料強制徴収。(10/14)
  • 第158号.令和4年度から始まる75歳までの年金繰下げと、途中で年金の繰下げを諦めた場合の新しい取扱い。(10/7)

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  • 第157号.今90歳あたりの人の年金は今の60代の人と大差は無いが、100歳前後の人は全く別物となる。(9/30)
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2020年8月配信分
  • 第152号.年金を貰ってる人の税金と、年金と給与を貰ってる人の税金計算。(8/26)
  • 第151号.共済期間と厚年期間でこれだけの加入があるのに、一般的とは異なる取り扱いの数々。(8/19)
  • 第150号.高い給付をしたかったから厚生年金基金を設立したというのは建前である経緯と、基金記録が有る人の年金計算。(8/12)
  • 第149号.障害年金が遡って数百万円の一時金が振込まれるまでの過程と、その後に待っていた重大な選択。(8/5)

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  • 第148号.働き続ける事で大損をしてしまうタイミングと、中途半端に働くくらいなら働き続けて逆に大損を回避する。(7/29)
  • 第147号.失業手当と年金が同時にもらえる事例と、65歳前の特老厚と失業手当も同時に貰ったような形になる場合。(7/22)
  • 第146号.障害年金を貰い始めたが、その間の保険料免除の仕組みと年金停止後に病状が悪化した時(7/15)
  • 第145号.7月になると所得を確認しなければならない20歳前障害基礎年金の取扱変更と、年金計算総合事例。(7/8)
  • 第144号.7月は新しい免除申請の月。その免除の種類と年金額計算の考え方復習事例(7/1)

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2020年6月配信分
  • 第143号. 年金積立金が減ると年金が支給されなくなるという誤解と積立金の歴史(6/24)
  • 第142号.子への養育費が遺族年金を停止させてしまう事例と、親族との養子縁組。(6/17)
  • 第141号.よくある年金を担保に融資を受ける受給者と、障害年金の加給年金が付かなかった事例。(6/10)
  • 第140号.過去に国鉄共済組合が年金財政危機に陥った理由と、厚生年金に統合された歴史。(6/3)
  • (号外)低年金者向けに支給される年金生活者支援給付金の所得基準額の変更と、改正による給付変化の計算事例。(6/1)

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2020年5月配信分
  • 第139号.女子の雇用促進で、既に貰っている遺族厚生年金の計算の内訳が変化する時。(5/27)
  • 第138号.残された妻子の子が、死亡者の実子なのかそうでないのかで年金に途轍もない違い。(5/20)
  • 第137号.年金は75歳から支給しますという事ではないが、支給開始年齢の引上げの歴史と現制度の問題点(5/13)
  • 第136号.相次ぐコロナ失業。年金受給者が退職して、失業手当を貰う時に停止された年金はどこで支給再開するのか(5/6)

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事例と仕組みから学ぶ公的年金講座』(2021年11月3日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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