日経新聞とテレビ東京が今年1月末に行った世論調査では、岸田政権を「支持する」とした人が59%で、前月から6ポイント低下しました。水準としては依然高いものの、岸田政権になってから初めての低下です。岸田政権の「2つの誤算」が支持率を脅かすようになってきました。(『マンさんの経済あらかると』斎藤満)
※有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2022年2月4日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。
岸田政権の支持率「初めての低下」
日本経済新聞社とテレビ東京が今年1月末に行った世論調査では、岸田政権を「支持する」とした人が59%で、前月から6ポイント低下しました。水準としては依然高いものの、岸田政権になってから初めての低下となりました。
これまで岸田政権によるコロナ対策を「評価する」声が多かったのですが、最近の環境急変が、岸田政権の支持率を脅かすようになっています。
ここには2つの「誤算」があったようです。
支持率ダウンの要因その1:コロナ感染減から急拡大の危機
まずコロナの感染環境が急変しました。岸田総理が前政権を引き継いでからしばらくは、日本の感染者数が世界の中でも飛びぬけて少なく、「日本の奇跡」とまで見られました。その原因がわからないながらも、次の感染拡大の波までは時間的猶予があると、政権内でも楽観視されていました。
しかし、この「幸運」も年末には尽きました。
海外でのオミクロン株が確認された後、岸田政権は日本への侵入を水際で抑える方針をとりました。しかし、これを潜り抜けてオミクロン株が侵入してからは、あっという間に感染が急拡大し、ひと月もしないうちに感染者数は第5波のピークを一気に超え、1日9万人を超える感染確認に至りました。当初は重症化率、死亡率が低いと、たかをくくっていましたが、あっという間に医療危機、社会機能不全に至ってしまいました。
この事態に十分な手を打てなかった政権への批判が強まるようになりました。
WHO(世界保健機関)などが3回目のワクチン接種を勧め、日本もこれに従う方針をとりましたが、現実にはこれが一向に進みません。そもそもワクチンが十分確保できていないために、予約も、接種券の配布も進みません。
2回目の接種からの間隔も自治体によってバラバラの状態です。