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日銀はいつまで「利上げしない」と言い張るのか。物価上昇も見ないふり、迫る“ゼロ金利”政策の限界=吉田繁治

日銀は利上げをするのか?しないのか?

日銀の黒田総裁の発言は、次第に、意味不明になってきました。

国会で、3大メガバンク以外の金融機関の利益の低下と経営不振には、日銀のゼロ金利政策が影響しているのでないかと問われた際、色をなして興奮し「その影響はない」と強く答えました。

地方銀行は、国債の金利が重要な収入です。国債金利ゼロなら、利益が出ないのは当然です。

物価の上昇に対しては、「日本はCPIが上昇してない。2%の上昇まで、ゼロ金利政策を続ける」と黒田氏は答えています。

早く集計される東京都(区部)のCPIは、2021年12月が+0.8%、22年1月が+0.5%です(総合)。21年8月までのマイナス0.4%から、明らかな転換が見えます。
※参考:2020年基準 消費者物価指数 東京都区部 2022年(令和4年)1月分(中旬速報値)

さらにいえば、現在のCPIには、2021年の、菅首相による携帯電話料金の50%以下への低下が、-1.5%分の重みとして加わっています。22年3月から、この効果が、次第になくなっていきます。

携帯電話の料金値下げという、一度限りの特別の条件を除外すれば、物価はすでに「0.8%+1.5%=2.3%」上がっています。

ところが日銀は、2022年のCPIの上昇を0.5%から1%と予想し、金利ゼロを続けるとしています。3月、4月からCPIがまず2.0%に、次に2.3%に上がったら、日銀はどう答えるでしょう。

「異次元緩和が失敗に見えてきた日銀内には、政策を正当化するために混乱がある」としか思えません。

「ゼロ金利」を続ける日銀のインフレ認識の甘さ

日銀が作る「経済・物価情勢の展望(通称:展望リポート)」では、2022年のCPIを、1.0%(最低)~1.2%(最高)としかしていません。
※参考:経済・物価上情勢の展望:2021年1月

そして、2022年はCPIの上昇は、異次元緩和の目標の2%に達しない。ゼロ金利を続けるとしているのです(※筆者注:国債を買い増しする量的緩和と、株ETFの買い増しは、21年3月に〈暫定的に〉停止しています)。

仮に、2022年の3月、または4月にCPIが2.0%~2.3%に上がったとき、日銀はどう答え、何をするのか?疑問が残ります。

日銀は、21年12月に、年間84.5兆円の輸入物価が41.9%も上がり、企業物価が8.5%上がっていることに対して、以下のように述べています。

「…一方で、わが国では、物価は上がりにくいことを前提とした企業慣行や考え方が根強く残っている点を踏まえると、最終需要に近い川下・消費段階を中心に、コスト上昇の販売価格への転嫁が進まず、物価が下振れる可能性もある」

資源・コモディティ価格の上昇を、消費者物価に転嫁できない慣行があるとしています。

日銀が言っている「物価一般が上がっていない」ということは、実は正しくありません。

Next: 確実に上がっている日本の物価。日銀は動かないで大丈夫か?

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