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日銀はいつまで「利上げしない」と言い張るのか。物価上昇も見ないふり、迫る“ゼロ金利”政策の限界=吉田繁治

2022年の世界経済の最大の問題は、物価と金利の上昇です。これは日本にも確実に伝播され、その傾向も現れています。しかし、日銀は2%の物価目標には届かないと断言、これまでの政策を続ける予定です。日銀はいつ目を覚ますのでしょうか?(『ビジネス知識源プレミアム』吉田繁治)

※本記事は有料メルマガ『ビジネス知識源プレミアム』2022年2月9日号の一部抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

世界と日本を襲う「物価上昇」

2021年春まで想定されていなかったことが、消費者物価の上昇です。コロナによる外出規制から商品需要が減少し、約1年、物価は低下の傾向を示していたからです。

米国は、戦後の平均インフレ率が2.8%の国ですが、20年3月から21年3月の13か月は、1%台から0%台のCPI上昇でした。
※参考:マネー膨張が示唆する、ポスト・コロナの「資産バブル」リスク – ダイヤモンド・オンライン(2020年6月22日配信)

2021年8月のジャクソンホール会議でも、FRB議長のパウエルは、「CPIの上昇は短期的」としていました。21年秋には、物価は下がると見ていたということです。

ところが、資源・エネルギー価格は上がり、中国を含むアジアの生産国では、工場と港湾の操業停止から、サプライチェーン・ショックが起こり、米国の国内では、物流の停滞が起こっていました。

需要は、政府の5兆ドルの財政支出から増加していたのです。供給側のコストプッシュと、需要側のデマンドプル。この両方からのインフレでした。

賃金アップもインフレを後押し

米国では、21年夏から、賃金も5%から6%上がっていました(日本では0.1%上昇と低い)。

コロナにより休業した労働者の労働参加率が下がり、失業率(求職者数/雇用数)は2.9%に下がって、賃金が上がったからです。

賃金が上がると、米国企業は、日本よりは簡単に価格に転嫁するので、物価上昇は、国内要因からも構造的になります。

2021年11月にはFRBも、物価上昇が短期的ではないと認め、22年3月からのコロナ後、金融緩和の停止と利上げの予定を発表しました。

2021年12月のCPIの上昇は、FRBの事前予想を上回る7.0%と高く、22年1月も7%を超えると見られています(※編注:原稿執筆時点2022年2月9日)。

Next: インフレ「7%」は第二次石油危機から40年ぶりの高さ。日本への影響は

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