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トレーダーを惑わせる「2つのランダム」 アルゴ取引は決定論の夢を見るか?=田渕直也

株価チャートに「意味」を見出すトレーダー

人は、株式相場のチャートを見ていると、そこに様々な意味を感じます。上昇トレンドだ(その理由は○○だ)、下落トレンドだ(その理由は××だ)、上昇トレンドから下落トレンドに切り替わった(その理由は△△だ)、もみ合い相場から抜け出した(その理由は□□だ)、などなど、決してそれらが偶然に生じたものだなどとは思いません。

でも、コンピューターでランダムウォークのシミュレーションをしてみると、現実の株式相場のチャートとそっくりなパターンがいくらでも出てきます。

上昇トレンドも、下落トレンドも、トレンドの切り替わりも、ありとあらゆるチャートパターンが偶然だけでも、つまり理由もなく、形成されるのです。

ランダムウォークは、バラバラで取り留めなく、劇的でも明白でもないものでは決してありません。でも、人は劇的で明白な結果が生じると、それをどうしても偶然によるものだとは感じられないというわけです。

ランダム性の認知バイアス

このことは、とても重要な帰結を招きます。それは、

・人は、ランダム性の影響を必ず過少評価する

そして、その結果として、

・ランダム性の影響は、人が感じるよりも必ず大きい

ということです。

ランダム性はプラスの期待リターンを生みませんが、そのランダム性を理解することは、プラスの期待リターンがどこに潜んでいるかを考えるうえでとても重要です。

相場変動におけるランダム性の影響が思っているより大きいとしたら、相場の予測は思っている以上に困難であることを意味します。そしてトレードで合理的に利益を上げられる余地は、人が感じるよりもわずかということになります。

だから、本当にランダムではないものを、絞り込んでいかなくてはいけません。

Next: 実力か偶然か?長期的なトレードの成功を得るために

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