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ネット中傷は「侮辱罪」厳罰化で止まるか?批判と侮辱の線引きは警察次第、政治家への悪口も犯罪となる危険性=原彰宏

慎重な議論がなされなかった侮辱罪

基本法を変えるというのは、それくらい大変なことです。

慎重な手続きが必要な中で、前述の「侮辱罪」の法制審議会は、去年の9月と10月の2回しかやっていないと、「FLASH」Web記事は指摘しています。
※参考:SNSに「ブタ」と書いたら懲役刑…侮辱罪の厳罰化で「政治家の悪口も言えない」 – Smart FLASH(2022年3月10日配信)

記事にはネット上の誹謗中傷に詳しい吉峯耕平弁護士の主張が取り上げられていて、「悪口は基本的に罰しないことが重要」という主張が載せられています。

たとえば「安倍は独裁者だ!」みたいなことを言う人はいっぱいいます。牢屋に入れられることを心配しないで、悪口を自由に言えることは、我々の社会の重要な価値です。

悪口は規制できないというのはよくわかりますし、「悪口の基準」が明確に示せないことにより、法の運用側の恣意的判断が働く要素があることは否めないでしょう。

記事でも書かれているように、憲法の「表現の自由」を制限する非常に重要な問題なのに、審議された時間があまりにも短いという指摘は非常にうなずけます。

今までもこの手の法案、国民のプライベートにまで調査が及ぶであろう権利を認めるものや、秘密保護強化、共謀罪などの法案審議は、あっという間に決められたという印象がありますね。

【関連】戦争の裏でひっそり警察法改正へ。「サイバー捜査隊」新設で国民監視社会へ突入か=原彰宏

三原じゅん子議員のTwitter発言の問題点

ここまでの流れを踏まえて、下記の自民党三原じゅん子議員のTwitterでの表現を見てください。

2020年5月26日午前9時5分投稿の三原じゅん子参議院議員のツイートです。映画評論家町山智浩氏のツイートを受けての発言です。

この三原氏の「しかし、」以降の表現が、リベラル派のネットメディアに批判されているようです。

前述の「FLASH」記事内の吉峰弁護士が例としてあげた「安倍は独裁者だ!」発言は、三原氏の論で言えば「アウト」ということになりますね。

たしか三原じゅん子参議院議員は、自民党政務調査会デジタル社会推進特別委員会の「インターネット上の誹謗中傷・人権侵害等の対策プロジェクト・チーム」の座長でしたよね。

規制内容が曖昧で、権力側、捜査当局の判断によるところが大きいとされる法律であることは間違いないようです。

Next: 「侮辱罪」厳罰化が招く日本のロシア化

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