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なぜウクライナ侵攻とインフレは終わらないのか。「世界の警察」を名乗って勝手にやめたアメリカが元凶=角野實

ウクライナとロシアの戦争は終わりが見えません。そもそも、この戦争はなぜ起きたのでしょうか。ロシア、ウクライナ、さらには欧米にも戦争を起こした原因はあります。あまりにも馬鹿げたこの戦争の原因と終わらせかたについて、投資家目線で解説していきます。(『角野實のファンダメンタルズのススメ』)

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※本記事は有料メルマガ『角野實のファンダメンタルズのススメ』2022年5月14日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:角野實(かどの みのる)
大学卒業後、金融機関に10年ほど勤務。独立して投資家の道へ。現在は企業経営者として活動、FX関連の執筆を多数行っている。

ロシア・ウクライナ戦争の行方

いつになったら終わるのであろう、と感じている人がほとんどだと思います。これを論理的に説明すると、以下のようになります。結論から先に言えば、当面、終わらないということです。

まず「喧嘩」というものが何から起こるのか。喧嘩といっても暴力的なもの、と限定しておきます。

まず、友人があなたを暴力で攻撃してくるときに、その暴力をする人との関係を「経済的な調和」で考えていけばいいだけの話なのです。あなたの友人が暴力をふるってきたときに、あなたの選択肢は「耐える」もしくは「応戦する」という2択にしかなりません。

その結果の経済的な利益というのは、攻撃側、つまりあなたの友人は100点満点中、10点程度にしかならないと思います。ところがあなた自身はマイナス100点です。なぜなら、一方的にやられたら、身体的な被害を含め、得ることは何もないからです。ゆえに、応戦をしてマイナス100点からの回復をしようとする、ということになります。

つまり、応戦するということは、あなた自身の被害を防ぎ、相手にもある程度、ダメージを与えることができるという考え方になります。

これを個人同士の戦いから国家同士の戦いに昇華させると、軍事力の拡大競争ということになるのです。みなさんがいくら平和を願っても、相手が攻撃をしてきて、ガンジーやマンデラのように非暴力で対抗をすればやりたい放題、やられるだけの話です。

政府としてはそんなことを国民に強いるわけにはいかないので、戦力を増強する。これがロジックになります。これが暴力的な喧嘩が勃発する理由になり、軍拡競争の所以になると思います。

効かなくなった米国の「核の抑止力」

その対策として、アメリカの安全保障の支配的な考え方は、ホッブスのリバイアサンに代表される「抑止力」という考え方になります。一般的には「核の抑止力」と言われているものです。

つまり、相手を上回る戦力を保持して、相手が攻撃を仕掛けてくるまで何もしない。相手はこちらの軍事力優勢を知っていますので、敗戦が必至な状況では攻撃を仕掛けないだろうという思惑によって、現在の世界情勢は成り立っているだけです。

つまり、今まで世界の警察を自任してきたアメリカは、攻撃相手を上回る戦力を維持しなければ抑止力は働かない、ゆえにアメリカは世界一の軍事力を保持するということになるのです。

ところがオバマ政権が明言し始めたように「世界の警察を辞める」という流れが、トランプ、バイデンにも引き継がれているわけです。

その結果、アメリカに一方的に安全保障を頼るわけにはいかないので、日本でも改憲論争、岸田さんの言う敵地攻撃能力の話題になるのです。

これまでは抑止力、つまりお互いにけん制し合う状態が続きましたが、国際法のルールにのっとらない愚か者が出た場合、アメリカは世界の警察を辞めたので出張ってこない…というのが現在の状態です。

しかし、一方でロシアは、アメリカとともに核保有国ナンバー1の地位にとどまっており、そのアメリカの抑止力がロシアには効かない状態になっているのです。おまけに世界の警察を放棄したアメリカが相手だったら、好き勝手にすることは目に見えているわけです。

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