fbpx

米国の景気後退はいつ起こるか。FRB元幹部は「不可避」と発言、2023年に襲い来るスタグフレーションに要警戒=斎藤満

米国市場にはFRBの急速な利上げを見越し、景気後退を懸念する声が高まっています。逆イールド(長短金利の逆転現象)発生から約1年の「ラグ」を経て景気後退に入るという見方がありますが、今回はこの「ラグ」が短くなる要素が多く存在します。(『マンさんの経済あらかると』斎藤満)

【関連】日銀は岸田政権にケンカを売った?黒田総裁の「円安容認」は危険な賭け、円安を軟着陸させる手段は2つだけ=斎藤満

※有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2022年5月18日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

市場に景気後退懸念の声

米国市場にはFRB(連邦準備制度理事会)の急速な利上げを見越し、景気後退を懸念する声が高まっています。

これが米国株を不安定にしています。特に今年1-3月のGDP(国内総生産)が予想外のマイナス1.4%成長となったことから、予測機関は見通しの下方修正にとどまらず、中には「景気後退不可避」とのレポートが増えています。

ここまで米国の景気先行指数は今年1月分がマイナス(0.3%)となり、懸念の声が出たものの、その後、2月、3月ともに0.3%の上昇となり、当面は景気拡大を示唆しています。

同様に景気先行指標とみられているISM製造業も、4月は55.4と、拡大縮小の分岐点50を大きく上回っています。それでも先行指数が減速方向で、ISMも昨年春には60を超えていたのと比べると、減速傾向は否めません。

FRBの元幹部は「景気後退は不可避」と言う

そうした中で、FRBの元幹部が強いインフレ対策を余儀なくされる結果、景気後退が不可避との見方を示しました。

まずFRBの前副議長で現在コロンビア大学の教授を務めるリチャード・クラリダ氏が今月6日、フーバー研究所の講演で、高インフレに対処するためには政策金利を中立水準より少なくとも1%以上引き上げる必要を説き、その高金利策が米国景気の後退をもたらすとの懸念を示しました。

同様にクウォールズ前理事も5月3日、FRBが高インフレに取り組む中で米国景気は後退を余儀なくされる、との見方を示しました。

彼はバイデン政権がパウエル議長再任を決めるのが遅れたために、FRBの利上げが遅れたと、FRBのインフレ対応が後手に回った責任が政権にあると指摘、結果として政権が招く景気後退との見方を示しました。

Next: 景気後退はいつ訪れる?「逆イールド」に要警戒

1 2 3
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー