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習近平に暗殺説まで浮上。無謀な上海ロックダウン解除と雲隠れは“政権崩壊”の兆候か=斎藤満

中国習近平指導体制に何かが起きているかもしれません。こだわり続けた「ゼロコロナ」を感染者がまだいるなかで6月1日から解禁し、本来は姿を見せるはずの外交場面でも書簡での挨拶にとどめるなど異変が見られます。このところ習近平主席が表に出る機会が減ったことと、主席の発言内容が従来よりも弱いトーンになっていることから、習近平氏に健康上の問題が起きているのでは、との思惑が広がっています。(『マンさんの経済あらかると』斎藤満)

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※有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2022年6月6日号号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

ゼロコロナは諦めた?習近平体制に異変

中国習近平指導体制に何かが起きているかもしれません。

そもそも、上海で新規感染者がまだ残る中でも、6月から事実上ロックダウンが解除となりました。あれだけゼロコロナにこだわった習近平主席に何があったのでしょうか。

また王毅外相は先月下旬に南太平洋島嶼国を歴訪、安保協定締結を目指しましたが、ここにも疑念がもたれました。

協定締結の合意には至りませんでしたが、問題は、ここで習近平主席が姿を見せなかったことです。フィジーで各国首脳がビデオ会議を行いましたが、各国首脳がビデオに顔出ししたのに対し、習近平主席だけは顔を出さず、書簡での挨拶にとどめました。

このため、習近平氏に健康上の問題でもあったのか、などの思惑が出ました。

上海では6月1日より外出解禁

まず注目されたのが上海市で6月1日より、外出規制が一部を除いて解除され、事実上ロックダウンが解除されたことです。

2か月にわたるロックダウンには市民から強い不満が出ていて、市当局が緩和に出ざるを得なかったと見られますが、これが5月29日の新規感染者60人という中で決められたことです。

つまり、習近平体制が進めてきたゼロコロナ策が修正されたのか、それ自体は変わらなくても、上海市当局が習近平指導部の意向を無視して緩和に踏み切ったのか、どちらにしても注目すべき動きと見られました。

一般には今年11月に予定されている5年に1度の共産党大会までは、執行部はゼロコロナ策を続けると見られていました。

これに対して上海市当局は、感染対策が十分成果を挙げた、として一部の感染者が出ている地域を除き、上海市の約9割にあたる地域で実質的に規制を解除、公共交通機関、タクシーも解禁となりました。市民は歓迎して祝杯を挙げる映像が紹介されていましたが、ここに至る当局の判断が注目されています。

上海や北京その他いくつかの地域でロックダウンや各種規制をかけてきたために、中国経済は3月以降急激に悪化し、特に4月の落ち込みは厳しく、PMI統計や小売り、生産が大きく落ち込みました。そして若年層の失業率が18%を超え、戸籍を持たない日雇い労働者が路頭に迷うようになりました。

このため、上海市当局には強い批判が寄せられましたが、上海市トップの李強共産党書記は、習近平主席の右腕、後継者とみられる人物です。従って、その下の地位の担当者が相次いで責任を問われたのに対し、李強書記はここまで批判を回避してきました。

焦点はこの大事な上海の危機を見て、習近平体制がある程度妥協してゼロコロナ策の運営を微調整した、と考えるのか、上海市トップが謀反を起こしたのか、となります。一般的には党大会で習近平氏の3選が決まり、李強書記の常務委員昇格は間違いないと見られる中で、謀反を起こすことは考えにくいと見られます。

そうであれば、習近平主席の指導力、リーダーシップに揺らぎが出て、大都市圏でのロックダウンに対する強い反発に、妥協の姿勢を余儀なくされた可能性が考えられます。その場合、これまでの「絶対的な権力者」習近平氏に、何らかの問題が生じている可能性も考えられます。

Next: 習近平指導体制にゆるみ。経済政策で李克強氏の復権か

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