歯科クリニックの現状
いまやコンビニよりも“歯医者さん”の数のほうが多くなっています。
ある県では、歯科医に関しては、“開業”件数と“廃業”件数が同じぐらいになっているとのことです。
医科の場合、多くは医学部卒業後は医局に残るか、大学病院や総合病院に勤務するケースが多いように思いますが、歯科医の場合は大学医局がなく、大学に残るのは稀で、総合病院にも歯科という診療科目を設けているところは少なく、開業するしかないという現状があります。
歯科医育成で急激に歯科大学を増やしたこともあり、大学の数に比例して開業医が増える構図になっています。歯科クリニックが生き残るために、患者さんを取り合っているのが現状です。
道を歩けば“歯医者さん”にあたる…。
患者さん確保で大事なのは「メンテナンス」「予防・未病指導」です。実際の治療の方が利益は上がりますが、患者さん確保のために普段からクリニックに定期的に通ってもらうためには、ブラッシング指導などのメンテナンスで、患者さんを囲い込むことが大事になってきます。
日曜日に待合室を開放して「虫歯予防教室」を開いたり、中には「ワイン教室」を開いて患者さんを確保しているところもあります。涙ぐましい努力ですね。
ある歯科クリニック院長は「歯科には危機感がありサービス業に徹する心構えがある」と、医科よりも有利だと話していましたが、それも人それぞれでしょうけどね。
まあ、クリニックは経営センスが問われるようになりましたね。そんな状況において「全国皆歯科健診」は、歯科クリニックにとっては「願ったり叶ったり」の政策ではないでしょうか。ネット上では、「全国皆歯科健診」を支持する歯科医のサイトも見られます。
また、東京都や神奈川県では、保険診療をやめて自由診療治療専門のクリニックも増えてきました。保険診療には歯科治療での限界があり、もともと点数が低いので、腕と経営能力があれば、自由診療で勝負したいと考える歯科医も多くいます。
歯科クリニックの現状は厳しい…。医科と歯科では、ずいぶん様子が異なるようです。
唾液でがん検診、咬合治療で腰痛改善
国民が高齢になっても多くの歯を残し、健康寿命を延ばすことで、医療費の抑制を目指す…。
読売新聞では、歯周病と心筋梗塞等の関係を紹介しています。歯周病は、歯を失うリスクが高まるだけでなく、心臓病や糖尿病に影響するなど、全身の病気との関連が指摘されています。
※参考:全国民が生涯通じて歯科健診、「骨太の方針」で検討…健康寿命を延ばし医療費抑制 – 読売新聞オンライン(2022年5月31日配信)
現在、歯科健診が義務付けられているのは、1歳半と3歳、小中高生のほか、塩酸などの化学物質を扱う労働者などに限られています。読売新聞は「国民皆歯科健診」実施には意義があると主張しているのでしょう。
歯科クリニックの待合室に「唾液検査で早期にがん発見」というパンフレットが置いてあるのをお気づきでしょうか。
「サリバチェッカー(SalivaChecker)」という検査があります。唾液成分の大部分は血液由来のため、がん細胞から染み出す代謝物質は血管を通って唾液中に染み出します。その唾液をサリバチェッカーで解析することで、がんの疑いがあるかを判定するようです。そもそもだ液を採取するだけの手軽な検査で痛くないですし、1度の検査で6つのがん種ごとに現在のがんリスクを判定できるそうです。費用は保険診療外で、医療機関によりますが、2~3万円ぐらいでしょうか。
「咬合治療」も、単にかみ合わせを矯正するだけでなく、全身症状を取り除く効果も認められています。