高配当株投資は先が暗いものへの投資
これらの総合にもなりますが、高配当株投資は先が暗いものほど投資対象としては良かったりします。
具体的なセクターを挙げるとするならば、タバコがその最たる例です。
喫煙率が下がっている中で安定的な利益を上げ続けていますが、直感的に考えて先が暗そうに見えますよね。まして、SDGsとか言われている中でそういったものに投資するのは気が引けるため、かなり強い精神力が要求されます。
さらに、株価が下がったときに投資すると言いましたが、株価が下がるには下がるだけ材料があります。およそ世の中の雰囲気はネガティブな状況になっていますし、特にその銘柄に関してはネガティブだといえるでしょう。
そんなときに投資するというのは、精神力が試されるわけです。
逆に言えば、それができたら高いリターンを上げることもできると思ってます。私もBTIという海外タバコメーカーに投資したことがありますが、その会社はなんと配当利回りが10%もありました。
タバコで将来が暗いからそこまで下がっていましたが、結局、業績を悪化することなく未だにその配当を維持しています。実はそういった強い精神力があれば、逆に高いリターンを上げられるというケースもあります。
将来的に明るい話ばかりではなく、暗い話が多いのがこの高配当株投資の中身です。
トータルリターンはインデックスの方が高い
先程、デメリットの面で高配当=低成長だと説明しましたよね。
しかし、低成長であっても配当を再投資することで複利を回していくため、資本自体は複利効果によって大きくなっていきます。この大きくなったときのリターンをトータルリターンと言います。
では、トータルリターンを通常のインデックスと比べたときに、どのような結果になるでしょうか?
この青がHDVと言われるアメリカの高配当株投資信託ETFのチャートです。オレンジがVOO、つまりS&P500の推移になります。
いずれもトータルリターンを求めています。
変わらない部分もありますが、特に株価が大きく伸びるときは高配当株インデックスの株価が伸びにくくなってきます。そうなると、通常のインデックスとの差は大きくなってきます。
歴史的に見ても、高配当株の株価は伸びにくいため、単純なインデックスに負けてしまう可能性が高いです。
これを踏まえると、特に若い人ほど再投資してまでこれをやる意味が薄く感じるかもしれません。好みにもよりますが、どうせ引き出さないのであれば、S&P500のような成長株を含むインデックスに投資した方が、上がりやすいと考えることもできます。
また、JTのように利回りは高くとも、株価が5年間で40%のマイナスで減配もあり、ほぼ横這いになっている状況の銘柄もあります。
こういった状況を許容して投資できる、あるいはこの状況を前提として投資するのであれば、途中でくじけることなく、やる意味があるかもしれません。
このように、決して明るい話ばかりではなく、暗い話の方が圧倒的に多いと理解した上で投資することが重要になってきます。それでも配当があるため、再投資していけばインデックスには敵わないにしても、伸びていく可能性が高いと言えるでしょう。
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